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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

意外に思われるかもしれませんが、最近の流行りの曲はだいたい知っています。カラオケに行くと最新のヒット曲を歌うので驚かれることもあります。でも、特に音楽に詳しいわけでもなく、カウントダウンTVを欠かさずチェックしているわけでもありません。


では、どうして流行りの曲を知っているのか。それは、ランニング中に音楽を聴いているからです。ランニングを始めた当初は何も聴かずに走っていましたが、あるとき娘のミュージックプレイヤーを借りたのをきっかけに、音楽を聴きながら走るようになりました。それ以来、音楽を聴くことが習慣になっています。


昔は、ミュージックプレイヤーで特定のアーティストのアルバムを流していたので、聴く曲も限られていました。しかし、スマホに替えて音楽配信サービスを利用するようになってからは、「J-POPベストヒット」などのプレイリストを選べば、最新のヒット曲を自然に聴くことができます。走るたびに耳にするので、気づけば流行りの曲を覚えている、というわけです。


とはいえ、走りながら聴いているので、曲は覚えていても曲名や歌手名を確認することはあまりありません。そのため、カラオケに行くと「この曲知ってる!」とは思っても、誰の曲かわからずに歌えないことが多いのです。


最近では、アニメのPRが増えたことで、ランニング中に聴いていた曲が実はアニメの主題歌だったと後から知ることもよくあります。今のヒット曲は、アニメやドラマの主題歌になっていることが多いため、アニメやドラマを観ない世代は、そもそもヒット曲自体を知る機会が少ないのかもしれません。


音楽配信サービスは、私のような世代にとっても非常に便利です。なぜなら、知らない曲やアーティストに自然と出会えるからです。ヒットソングメドレーを聴いているうちに気に入ったアーティストができ、そのアーティストの曲をさらに聴くようになる。この流れがとても楽しいんです。最近よく聴くのは、「Official髭男dism」「Vaundy」「YOASOBI」「Creepy Nuts」「米津玄師」など。還暦のおじさんが聴くようなアーティストではないかもしれませんね。


とはいえ、時々昔のヒットソングを聴きたくなることもあります。例えば、「平成のヒットソング集」を流して、サザンオールスターズ、BOØWY、BARBEE BOYS、レベッカなどを聴くと、気分よく走れます。


私が高校生の頃は、レコードを借りてカセットテープに録音し、ラジカセで聴いていました。今の若い世代にはピンとこないかもしれませんね。当時は、ラジオやテレビ、友人を通じてしか新しい曲を知る方法がありませんでした。そう考えると、今は本当に便利な時代になったと思います。


ただ、苦労して手に入れた曲は、なかなか忘れないものです。だからこそ、当時覚えた曲はいまだに私のカラオケの十八番なのです。

 

 
 

ここ数回にわたり、5W1Hを活用したPR戦略の立て方について解説してきました。しかし、どれだけ優れた戦略を立てても、PRがうまくいかないことがあります。 その原因の多くは、「やってはいけないこと」を無意識のうちにしてしまっているケースです。


今回は、PRで避けるべき3つのポイントについてお話しします。

 

① 取材の制限や規制をしない

メディアPRを行う際、メディアに取材を依頼しているにも関わらず、「この話題には触れないでほしい」「この写真は撮らないでほしい」などと制限を設けるケースがあります。しかし、そのような対応をするなら、そもそも取材を依頼する意味がありません。


PRの場では、企業側とメディアは対等な立場であるべきです。取材を「させてやる」といった上から目線の対応は厳禁ですし、逆にメディア側も「取材してやっている」という態度をとるべきではありません。


もちろん、正当な理由がある場合の取材制限は問題ありません。例えば、人権への配慮や著作権・肖像権に関わる部分は、メディア側も納得するはずです。しかし、特に理由もなく取材を規制してしまうと、メディアとの信頼関係が崩れ、最悪の場合「取材を拒否された」とネガティブに報じられることもあります。結果的に、PRが逆効果になってしまう可能性があるのです。

 

② PRの本来の目的を見失わない

PRイベントを行う際、社長の記者会見やゲストの招待などに力を入れるあまり、本来の発表内容が二の次になってしまうケースがあります。


例えば、複数の企業が共同でイベントを開催する場合、各社の調整に時間がかかることがあります。また、イベント制作会社や芸能プロダクションなど、関係者が増えるほどさまざまな思惑が交錯し、結果として発表内容が変更されることもあります。


しかし、PRイベントの本来の目的は、発表内容をしっかり伝えることです。イベント自体を成功させることに意識が向きすぎると、メディアの記者への対応が後回しになり、肝心のPR効果が薄れてしまうことも。イベントを企画する際は、「何のためにこのイベントを行うのか?」を常に意識し、本来の目的を見失わないようにしましょう。

 

③ メディア対応はスピーディーに

メディアからの問い合わせ対応が遅れると、せっかく記事にしてもらえるはずだったチャンスを逃すことになりかねません。最近は、連絡手段としてメールを利用するケースが増えていますが、初期対応はメールで問題ないとしても、できるだけ電話対応を併用するのが望ましいでしょう。


なぜなら、メールのやり取りでは新たな質問が生じた際に時間がかかるため、メディア側にとっても効率が悪くなってしまうからです。電話であれば、その場で追加の質問に答えられるため、スムーズな対応が可能になります。


また、すぐに対応できない場合でも、「回答に時間がかかる」ことを早めに伝え、期限を明確にすることで、メディア側の理解を得やすくなります。逆に、期限を過ぎても連絡がない場合や、対応が曖昧な場合は、記事自体が見送られるだけでなく、最悪の場合、ネガティブな記事につながる可能性もあります。

 

PRがうまくいかない原因の多くは、企業内部の問題によるものです。しかし、メディアにとっては内部事情など関係ありません。もし「取材の制限を設ける」「イベントの目的を見失う」「メディア対応が遅れる」といった問題があるなら、そもそもPR活動を行わないほうがよい結果になることもあります。


PRの成功には、あらかじめ社内の課題をクリアにし、メディアと良好な関係を築くことが不可欠です。事前準備を万全にし、効果的なPRを目指しましょう。

 
 

前回のコラムでは政治とPRの関係についてお話ししましたが、今回は経済とPRについて考えてみたいと思います。


正直なところ、経済のPRはとても難しいテーマです。企業やお店が自社の商品やサービスをPRし、売上を伸ばすことは、最もわかりやすい経済的なPRの一例でしょう。また、個人が宣伝で知った商品を購入することも、PRの結果としての経済行動と言えます。


しかし、政治のようにPRが大きな話題になることは少なく、経済に関するPRはメディアで取り上げられにくい傾向があります。特定の企業をひいきしていると思われることを避けるため、メディアが慎重になっているのかもしれません。そのため、経済分野におけるPRの中心は、メディアPRよりも広告や宣伝に偏りがちです。


それでも、テレビや雑誌では「安いお店」「お得な商品」「コスパの良いサービス」などが頻繁に特集され、多くの人が関心を寄せています。確かに、生活者にとって役立つ情報ではありますが、経済学部卒業の私からみると,「安いこと」が本当に良いことなのか、一度立ち止まって考えてみる必要があるのではないかと思うのです。


日本経済は「失われた30年」と言われる長いデフレの時代を経験しました。その結果、かつて世界第2位だった経済大国の地位を失い、国力の低下が懸念されています。日本では、1970年代の石油ショックによるインフレの記憶が根強く残っており、物価上昇への恐れが大きいように感じます。私自身も当時の「狂乱物価」をうっすらと記憶していますし、高齢者世代にとってはインフレの怖さは実体験として刻まれているでしょう。


しかし、日本経済が長らく成長しなかった一因として、「価格を上げること=悪」という価値観が定着してしまったことも見逃せません。その原因の一端は、新聞やテレビといった各メディアの報道姿勢に求めることができるでしょう。彼らは、本来、経済成長には適度な物価上昇が伴うものだという経済学の基礎知識を伝えるよりも、とにかく「安いものこそ正義なのだ」という観点から報道し続けた結果、人々の間に「安いものはありがたい」という意識が広まってしまったのです。その結果、企業も価格転嫁を避けるようになり、デフレが長引いてしまいました。


最近になってようやく物価が上昇し始めましたが、未だに「生活が苦しくなる」という報道ばかりが目立ちます。確かに、賃金が上がらないまま物価だけが上昇すれば生活は厳しくなります。しかし、本来の経済成長とは、物価上昇とともに賃金も増えることで実現するものです。ところが、日本企業はリスク管理の名のもとに内部留保を増やすばかりで、なかなか賃金には反映されていません。最近になって人手不足の影響で新入社員の給与が上がり始めましたが、まだ一部の企業に限られています。


経済のPRは、どうしても庶民の目線では「安さ」にフォーカスされがちです。しかし、国全体の視点(マクロ的な視点)から、経済成長を後押しするようなPRがもっと求められているのではないでしょうか。

 

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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