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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

~営業効率を上げるためのPR活用術~


以前のPR講座でもお話ししましたが、営業も広い意味でのPRの一つです。実際、多くの企業においてPRは「営業戦略の一部」として位置づけられています。

BtoB企業でも、商品名や企業名が知られていることは大きな強みになります。

また、新聞記事などで大きく取り上げられた実績を営業先に見せることで、信頼度が高まり、話を聞いてもらいやすくなります。

こうした意味で、「PRは営業を支援する施策」として非常に有効です。

 

とはいえ、BtoBの売上を伸ばすうえでは、営業先が明確に決まっていることが多いのも事実です。

たとえば、バスを販売したい場合、以下のような企業がターゲットになります。

  • バス会社

  • 工場や事業所を持つ企業(従業員送迎用)

  • これまで購入実績のある企業

これらの企業に直接営業をかける方が、テレビCMで「燃費が良い」「性能が高い」とアピールするより遥かに効果的です。テレビを見ている一般の人は、バスを買う立場ではないからです。

確かに視聴者の中には「バス購入担当者」もいるかもしれませんが、費用対効果の観点では、営業担当が直接訪問する方が圧倒的に効率が良いのは間違いありません。

 

ただし、PR活動が不要という話ではありません。

たとえば、バスを利用する一般の人は非常に多いです。その人たちがテレビCMで「乗り心地の良いバス」という印象を持ったとします。

すると――

  • 新車導入時に喜ばれる

  • 今のバスが不満な利用者が「このメーカーにすべきだ」と声を上げる

こうした現象が起きる可能性があります。つまり、最終利用者の声が営業に影響を与えることもあるということです。

このように、PRは直接の売上につながらなくても、営業活動を後押しする場面が必ずあります。問題は、どこまでPRに費用をかけるかという企業の判断なのです。

 

PR会社としては、本来なら広告のように費用をかけず、記事パブリシティなどを通じて自然な形で企業の価値を伝えることができれば、営業効果は非常に高まると考えています。

しかし、営業主導の企業では、「PRの効果」が可視化しにくいため、理解されづらいのが現状です。

  • PRによってどれだけ売上が伸びたのか?

  • PRをしなかった場合と何が違うのか?

これらを数値として証明するのはとても難しく、PR会社としても悩ましいポイントです。

 

最近では、BtoB企業がテレビCMを放送するケースが増えています。一見すると「一般消費者向けの商品がないのに、なぜ?」と思われるかもしれませんが、その背景には営業以外の狙いがあります。


まず一つは 採用効果 です。

  • 企業名が知られている方が新卒採用で圧倒的に有利

  • 親世代も「テレビCMをしている会社なら安心」と感じる

これらは、企業側が意識している大きなメリットです。


さらにもう一つ、企業イメージの向上効果 があります。

テレビCMによって企業名が浸透すると、「ちゃんとした会社」「信頼できる会社」という印象が自然と社会に広がります。BtoB企業の場合、一般消費者との接点が少ないため、社会的な認知が薄くなりがちですが、CMを通じて企業イメージを積極的に形成できるようになるのです。

この“イメージの良さ”は、

  • 取引先の信頼

  • パートナー企業との関係

  • 採用時の応募意欲

などに影響するため、長期的には営業活動の後押しにもつながります。 


一般の消費者向けの商品を扱っていない企業でも、社会的認知の獲得とブランド価値の向上というメリットを狙ってCMを活用しています。こうした企業イメージは、取引先の信頼にもつながり、結果的に営業活動の“土台”を強くする効果があります。

 

BtoBビジネスにおいて、営業活動が売上につながるのは間違いありません。しかし、その営業活動を支えるのがPRの役目でもあります。

そして、どれだけPR費用をかければ成果が最大化するかは企業の戦略次第なのです。

残念ながら、PR施策の効果を直接数値化するのは難しいですが、確実に企業の“土台”を強くするのがPRの力です。

PR会社としても、このジレンマは永遠の課題ですが、だからこそ 「営業とPRのバランスをどう取るか」 が企業の戦略として非常に重要になります。

 

 

 
 

―四季を恋しがるおじさんの独り言



今年の夏は本当に暑かったですね。猛暑という言葉では足りないくらいの暑さで、9月になってもまだ真夏日が続き、「一体いつまで夏なんだろう」と思っていました。ところが10月に入ると一転、急に寒くなり、秋を感じる間もなく冬が来てしまったような気がします。


そんな中、今年の新語・流行語大賞に「二季」という言葉がノミネートされました。最初は「何のこと?」と思いましたが、どうやら地球温暖化の影響で、春や秋が短くなり、“暑い夏”と“寒い冬”の二極化が進んでいるという意味だそうです。もし本当に「二季」の時代になってしまったら、日本人としてはやはり寂しいですね。


日本の四季は、世界に誇れる美しさと情緒があります。桜や紅葉、雪景色、そして入道雲――どれも季節ごとに変化する自然が作り出す風景です。お祭りや行事なども、四季の移ろいの中に生まれ、育まれてきました。こうした季節の表現があったからこそ、俳句のように「季語」を大切にする文化も生まれたのだと思います。

ただ、季節が変われば行事の在り方も変わってきます。運動会は5月や10月でも暑さ対策が必要になり、屋内開催を検討する学校も増えました。夏祭りや花火大会は、熱中症や台風の影響で中止になることもあります。一方で、冬のスキー場では雪不足が問題になり、人工雪に頼るケースもあるそうです。

 

かつては、春になれば桜を見ながら花見酒。夏は汗を流してビアガーデンで一杯。秋は紅葉狩りの後に温泉で一杯。冬は鍋を囲んで熱燗で一杯。

……私の場合は、単に「飲む口実」が四季とともにあるだけかもしれません(笑)。

 

清少納言の『枕草子』には「春はあけぼの、夏は夜」と、四季の移ろいを感じる美しい描写があります。四季をどう感じるかは人それぞれですが、その変化があるからこそ、季節のありがたみを感じられるのだと思います。

それが感じられなくなるのは、やはり寂しいことです。

地球温暖化は自然現象のように見えても、実際は人間の行動が引き起こしたもの。自業自得と言われればそれまでですが、やはり四季を失いたくはありません。

四季があるからこそ、日本人は情緒を育み、暮らしに彩りを感じてきたのだと思います。どうか「二季」ではなく、これからも春夏秋冬を感じられる日本であってほしい。……でないと、おじさんとしては、季節ごとの“飲む口実”がなくなってしまうのですから。

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─メッセージより行動が伝わる時代に


10月6日のブログで「高市自民党総裁が選ばれれば、日本初の女性総理が誕生するかもしれない」と書きました。

紆余曲折がありましたが、結局は、10月21日に高市新総理が正式に任命され、日本初の女性総理大臣が誕生しました。

 

自民党と公明党が過半数割れをしたことから、野党が結束すれば、自民党に代わって野党勢力が連携して政権交代を狙うことも可能になりました。

一時は、国民民主党の玉木代表を中心に調整が進められましたが、政策面での合意が得られず交渉は決裂しました。一方で、自民党と長年連立を組んでいた公明党が連立離脱を決断したことも受けて、高市総裁が本当に総理大臣に任命されるのか、果たして誰が総理大臣となるか、政局は混迷を極めました。

しかし、日本維新の会の吉村代表と高市総裁が協議を重ね、自民・維新による新たな連立政権が誕生することになりました。

 

高市内閣の発足後の支持率は高く、自民党と日本維新の会の政党支持率も上昇しました。一方で、国民民主党や参政党の支持率は下がり、立憲民主党は横ばいという結果となりました。

国民民主党は、玉木代表が一時「次期総理候補」として注目され、支持を集めましたが、最終的に政権に加われなかったことが支持低下の要因とみられています。

 

私の個人的な見方ですが、今回の政局の明暗を分けたのは「決断」だったと思います。政治において重要なのは、政策の中身そのものよりも、「何を、いつ、どう決めるか」という判断力です。国民が求めているのは、理念よりも行動、言葉よりも実行です。

 

各党の対応を振り返ると、「決断力」の差が政党支持率に明確に表れていると感じます。

  • 自民党:公明党との長年の連立を解消し、維新との新連立を決断。

  • 日本維新の会:政策実現のために政権参加を決断。

  • 国民民主党:政権入りの機会を前に決断できず、支持率が低下。

  • 公明党:連立離脱という苦渋の決断。

  • 立憲民主党:野党連携に向けた方針転換を決断できず停滞。

  • 参政党:政権協議への参加を見送り、支持を伸ばせず。

このように「決断した政党は支持を伸ばし、決断できなかった政党は支持を落とす」という構図がはっきりと見えてきます。

政治の世界では、最終的に“決める力”こそがリーダーシップの証であり、その姿勢がそのままPR効果=イメージ形成につながります。優柔不断な態度は「迷走」と映り、思い切った判断は「信頼」として受け止められるのです。つまり、政治における「決断」とは、言葉ではなく行動によるPRだと言えます。

 

石破政権の末期を振り返ると、「議論はしても決められない政治」への不満が国民の支持離れを招いた印象があります。国民が政治に求めているのは、理念の議論よりも「結果を出すこと」です。いくら立派な政策を掲げても、実行されなければPRとしての効果はありません。

今回の高市政権誕生では、自民党も維新の会も、一定のリスクを承知で連立に踏み切りました。その「決断した」という事実そのものが、「政治が動き出した」という前向きな印象を国民に与えたのだと思います。

 

PRの仕事に携わる立場から見ても、今回の政局は大変示唆に富むものでした。どれほど丁寧なメッセージを発信しても、最終的には「判断」と「実行」が伴わなければ、信頼や支持は得られません。それは政治に限らず、企業やブランドのPRにも共通する真理だと思います。

今後の高市政権がどこまで具体的な政策を実現できるかはまだわかりません。しかし、維新の吉村代表が掲げる“スピード感のある政治”と、高市総理の「決断力」が両輪となって進むなら、少なくとも政治が再び動き出す期待を感じます。

国民が政治に求めているのは、説明ではなく実践、言葉ではなく決断だと私は思います。今回の政権交代劇は、政治の世界におけるPRの本質を改めて考えさせられる出来事だったと思います。

 

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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