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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

前回、インターネットの普及により、消費者の購買行動がAISAS(Attention(注意)→ Interest(興味)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有))というステップを踏むようになったことをお話ししました。今回は、このAISASモデルが単純には説明できないほど、より複雑化してきたことについてお話しします。


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AISASモデルが複雑化した理由として、以下のポイントが挙げられます。


1. 多様な情報源の増加

消費者が情報を得る手段が増え、ただ「検索」するだけではなく、SNS、動画プラットフォーム、オンラインコミュニティ、インフルエンサーの発信など、さまざまなチャネルから情報を収集するようになっています。これにより、AISASモデルの「Search(検索)」が複雑化し、より多様な情報源を考慮する必要が出てきました。


2. 消費者のカスタマージャーニーの多様化

消費者が情報を収集して行動に移すプロセスは、以前よりも多様化しています。例えば、ある消費者はSNSで商品に興味を持ち、そのまま購入に至るかもしれません。一方、別の消費者は検索を通じて複数の情報を比較し、口コミやレビューを参考にするなど、より複雑なプロセスを経ることがあります。これにより、モデル内の各段階が細分化され、複数のパターンが想定されるようになっています。


3. 双方向のコミュニケーションの重要性

企業から消費者への一方的な情報発信ではなく、消費者同士のコミュニケーションや、企業と消費者の双方向コミュニケーションが重要になっています。この結果、消費者がどの段階で情報を共有し、その共有が他の消費者の行動にどう影響するかが、より複雑に絡み合っています。


4. 購買行動後の重要性の増加

消費者が商品を購入した後、その満足度が次の「Share(共有)」に大きく影響するだけでなく、再購入やリピート購入にもつながります。そのため、「Action(行動)」後のフェーズがこれまで以上に重要視されるようになりました。これは、消費者が同じブランドや製品を長期間にわたって支持するための戦略が、より複雑化していることを意味します。

 

このように、消費者行動の多様化と、それに伴う情報収集や購買プロセスの複雑化により、AISASモデルもまた、より柔軟かつ多面的に理解する必要が出てきています。企業はこの複雑化したモデルを理解し、各段階で適切なアプローチを取ることで、より効果的なマーケティング戦略を構築することが求められています。

 
 

更新日:2024年9月23日

9月12日に自民党の総裁選が公示され、9名の候補者が名乗りを上げました。そして、27日の投票日を経て新しい総裁が誕生する予定です。同時に、立憲民主党でも代表選が行われており、本日投票が行われて新しい代表が選出されます。


日本を代表する二大政党のリーダー選びにもかかわらず、注目が集まっているのは自民党の総裁選です。これは、やはり自民党総裁がそのまま総理大臣になる可能性が高いからでしょう。


メディアも、国民の関心が高い自民党の総裁選を中心に報道する傾向があります。この状況には立憲民主党側にも課題があるかもしれませんが、現在の政治状況では与党と野党の立場の違いが反映されていると言えそうです。


私自身には総裁選にも代表選にも投票権はありませんが、選ばれたリーダーが誰になるのかはとても気になるところです。報道を見ながら結果を待つしかない状況ですが、選挙戦を見ていると、メディア戦略が大きな影響を与えていることは明らかです。候補者たちは記者会見を行い、メディアに積極的に情報を発信しています。これは、党員だけでなく、広く国民にメッセージを伝えるための重要な手段となっています。


なぜ党員しか投票できない総裁選や代表選で、ここまでメディアを活用するのでしょうか?私なりの考えでは、やはりメディアを通じた発信が最も効果的だからでしょう。国政選挙とは異なり、総裁選や代表選では公職選挙法の制約がなく、テレビや新聞が候補者の主張を積極的に取り上げてくれるため、国民全体にメッセージが届きやすいのです。


ここで重要なのが、メディアを通じたイメージ戦略です。テレビ討論での振る舞いや、発言のスムーズさは候補者の印象を大きく左右します。良い印象を与え、総裁や代表にふさわしい人物であることをアピールするためには、政策をわかりやすく説明することが求められますが、限られた時間で全てを伝えるのは難しいものです。また、テレビ番組ではキャスターなどから意地の悪い質問をされ、自分の主張が思う通りに伝えられないということもあると思います。


政策論争よりもイメージ重視になりがちな現状には、メディアの影響も少なくありません。特に自民党の総裁選では、派閥の動向や支持者数が注目され、政策自体が埋もれてしまうことが多いです。もちろん、国民もそうした情報を求めているのかもしれませんが、やはりリーダー選びには政策論争が不可欠です。


今日、立憲民主党の新しい代表が決まり、27日には自民党の新総裁が選ばれます。新たに選ばれるリーダーたちには、イメージ戦略にとどまらず、日本の未来を真剣に考えた政策論争を展開してほしいものです。

 

 
 

これまでPRに関する基本的な考え方、内容、方法などをお話してきましたが、今回からは実際のPRに関する問題点を解説し、より実践的なPRを実現するためのポイントをお話ししていきます。


PRをするということは、すなわち消費者に商品やサービスを知ってもらうことにするわけですが、最終的にはそれを購入してもらうことが大半の企業の目的になると思います。


そこで、消費者はどういう経緯で商品やサービスを購入するかを知っておく必要があります。


消費者の購買行動を理解するために、多くのマーケターが参考にしてきたモデルの一つが「AIDMA」です。AIDMAは、Attention(注意)→ Interest(興味)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の5段階で構成されており、特にテレビや雑誌などのマスメディアを介した広告が主流だった時代に広く活用されました。


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しかし、インターネットとスマートフォンの普及により、消費者の情報収集や購買行動が大きく変わりました。ここで登場したのが「AISAS」という新しいモデルです。


AISASは、Attention(注意)→ Interest(興味)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)の5つのステップで構成されています。AIDMAとの大きな違いは、「検索」と「共有」というプロセスが追加された点です。



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例えば、ある商品に興味を持った消費者は、まずその商品についてインターネットで調べます(Search)。そして、購入後にその体験や意見をSNSなどでシェアすることが一般的になっています(Share)。これにより、他の消費者がそのシェアされた情報を元に購買を検討するという、循環的なプロセスが生まれています。


AISASのモデルは、インターネットの普及によって消費者が自ら情報を探し、購買後に情報を発信するという新しい行動様式を反映しています。これにより、企業のマーケティング戦略も、単に商品の魅力を伝えるだけでなく、消費者が情報を検索しやすい環境を整え、さらにシェアしたくなるような体験を提供することが重要になっています。


この変化を理解することで、現代の消費者行動に即した効果的なマーケティング戦略を立てることが可能になります。


しかしながら、このAISASモデルもインターネットがさらに高度化する中で変化してきています。次回はそれについてお話ししたいと思います。

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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