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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

【実践PR講座 その16】誰もがメディアになれる時代」SNS時代のPR戦略を考える

執筆者の写真: 橘川 徳夫橘川 徳夫

 

ここ数回にわたりメディアがテキスト中心から画像や動画へと変化してきた背景についてお話ししてきました。その大きな要因は、SNSの急速な発展です。今回は、この変化が情報発信やPRにどのような影響を与えているのかを考えてみたいと思います。


一昔前、情報を広く届けるには新聞やテレビといった既存のメディアを利用するしか方法がありませんでした。例えば、行列のできるラーメン店が注目を集める背景には、「〇〇テレビで紹介されたから」といった理由がよく挙げられました。


しかし、最近では既存メディアの信頼性が低下しているとよく言われます。2024年の選挙では、既存メディアが信頼されず、それに頼らずSNSを駆使した選挙戦を展開して話題を集めた候補者が多くいました。


SNSは誰でも簡単に始められ、特別な許可も必要ありません。投稿が「バズる」ことで、瞬く間に情報が拡散されることもあります。場合によっては、自分の投稿ではなく、トレンドとして情報が広がることも少なくありません。こうして、スマホさえあれば誰でも発信者、つまりメディアになれる時代になったのです。しかも、SNSはインターネットを通じて世界中とつながっているため、情報は日本国内にとどまらず、地球の裏側にまで届く可能性を秘めています。


こうした自由さゆえに、SNSは従来のメディアとは異なる特徴を持っています。新聞やテレビのような既存メディアには、取材や掲載にあたって厳格なルールがありました。しかし、SNSでは誰でも自由に投稿できるため、事実確認をしないまま発信され、結果としてフェイクニュースが拡散されるケースもあります。

SNSユーザーに対して「情報を確かめてから発信すること」を強制することは現実的ではありません。


また、法規制を強化すれば、SNSの魅力である自由さが損なわれる可能性もあります。このバランスをどのように保つべきかは、今後も大きな課題となるでしょう。


PRを行う側としては、既存メディアとSNS、それぞれの特性を理解し、使い分ける必要があります。テレビや新聞などの既存メディアは、しっかりした取材に基づき正確な情報を届ける役割を持っています。正確な情報を発信したい場合は、プレスリリースを送付し、これまで通りメディアPRを展開するのが効果的です。


一方で、SNSを活用する場合は、自社で直接情報を拡散させるだけでなく、影響力のあるインフルエンサーと協力する方法も検討すべきです。誤った情報が拡散されるリスクを防ぎつつ、情報を効果的に広げる方法を考えることが重要です。


SNSを中心にした情報発信の時代は、誰にとっても未経験の領域です。この状況は新しいチャンスを生む一方で、方法を誤ると全く効果が得られないリスクも伴っています。PR担当者としては、この変化をポジティブにとらえ、それぞれの媒体のメリットを活かした戦略を模索していく必要があります。


自由であるがゆえに難しい時代ですが、それを乗り越えることで、これまで以上に大きな成果を得られる可能性があるのではないでしょうか。

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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