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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~


前回のコラムでは、再生可能エネルギーの課題を切り口に、原子力発電のPRについて触れました。今回は少し視点を変え、日本がなぜ原子力発電を推進してきたのか、その背景と現状の課題についてお話しします。

 

日本は、石油や天然ガス(LNG)、石炭といった主要な化石燃料の国内資源をほとんど持ちません。かつての炭鉱もほぼ掘り尽くされ、世界的に見ても採掘条件の良い鉱脈は残っていません。さらに、火力発電はゼロカーボン政策の観点からも将来性が限定的です。

「水が豊富な国」というイメージから水力発電を思い浮かべる方も多いですが、発電に必要な規模の水量で見れば、日本は世界的にそれほど恵まれていません。こうした背景から、日本はエネルギーの安定供給を目指し、原子力発電に着目しました。

 

原子力発電は、少量のウランで非常に大きな電力を生み出せるため、当時は費用対効果が極めて高いエネルギー源とされていました。しかも、使用済み核燃料を再処理すれば再び利用でき、自国でエネルギーを循環させることも理論上可能です。

さらに、日本が進めた「高速増殖炉」は、発電と同時に燃料を増やせるという“夢の原子炉”と呼ばれ、資源の乏しい日本にとってはまさに理想的なシステムでした。そのため、「再処理システム」と「高速増殖炉」は、原子力政策の両輪として長年推進されてきたのです。

 

しかし、現実は理想通りには進みませんでした。高速増殖炉「もんじゅ」は巨額の予算を投じたにもかかわらず、度重なるトラブルで廃炉に。六ケ所村の再処理工場も、いまだ稼働には至っていません。

世界的にはゼロカーボンの流れから原子力を再評価する動きが広がる中、日本はこの二本柱を失ったことで、原子力政策自体が迷走状態に陥っています。その結果、かつては「自国エネルギーの確保」が主目的だった原発推進の理由が、「ゼロカーボン」という環境面の理由に置き換わってきました。

 

コストや地球温暖化の観点から見れば、原子力発電は有効な選択肢のひとつです。しかし、安全性の問題は避けられず、再生可能エネルギーの方が望ましいと考える国民も少なくありません。

結局のところ、原子力政策が国として明確に定まらない限り、原子力推進のPRは難しいままです。あいまいな方針で進めれば、「再エネを軽視して原発を押し進めている」という批判だけでなく、「安全性を軽視しているのではないか」という不安も国民の中に広がります。こうした疑念は、原子力そのものへの不信感を強め、逆にマイナスイメージを助長してしまいます。

もし国が本気で原子力発電を進めたいのであれば、まずは国民が納得できる、わかりやすく一貫性のある原子力政策を示すことが先決です。それなくしては、どんなに巧みなPR戦略を立てても、信頼は得られないでしょう。

 
 

このブログを始めてから1年が経ったことをご報告しました。(参考:https://www.windam.co.jp/post/1-year-has-passed)

実はブログ読者を増やすために、X(旧Twitter)のアカウントも開設し、記事を紹介する投稿を始めました。最初は「ブログを更新したらXにも投稿する」という形だったので、必然的に毎日投稿するわけではありませんでした。

しかしSNS、特にXは「発信しなければフォロワーは増えない」媒体です。思うような拡散が得られなかったため、思い切って毎日投稿することを目標に掲げて取り組み始めました。気づけばその挑戦も1年以上続いています。今回は、その振り返りをお話ししたいと思います。

 

最初に決めたのは、フォロワー数や“いいね”の数を目標にしないことでした。なぜなら、それらは自分でコントロールできないからです。「結果」ではなく「行動」を目標にすることで、達成感を積み重ねていけると考えました。

毎日投稿を続ければフォロワーも増えるだろうと予想していましたが、実際にはそう簡単ではありませんでした。当初は30フォロワーくらいでしたが、何かをきっかけに一時100フォロワーに近づき、100を超えられると思ったのですが、その後は減少し、ここ数か月は50名前後で安定しています。

 

次に着目したのは、投稿がどれだけ見られているかを示すインプレッション数でした。当初はフォロワー数を超えることがなかったのですが、途中から安定してフォロワー数以上の数値が出るようになりました。

きっかけは、投稿内容の変化です。当初は「ニュース記事をPR会社の視点で解説する」形式で投稿していました。しかし、良い記事を見つけるのに手間がかかり、さらに内容をPR視点に寄せようとすると、どうしても時間をとられてしまう。その結果、無理やり作っているような不自然さが出てしまい、自分でも続けにくさを感じていました。

そこでスタイルを変え、“おじさん目線”で世の中のニュースや他の人の投稿にコメントするようにしました。

すると、ある投稿でフォロワー数の数十倍のインプレッションを獲得。これを境に、スポーツや芸能など世間の関心が高い話題を取り入れることで、平均してフォロワー数の5倍以上のインプレッションを得られるようになりました。

この経験を踏まえて、インプレッション数を新たな目標に設定しました。

  • 1週間の合計インプレッション数をフォロワー数の35倍以上(=1日あたり約5倍)

  • 1投稿あたり、フォロワー数の4倍以上

このように「投稿数を増やせば達成可能」という、自分でコントロールできる数値にしました。結果として、この目標は半年以上継続的に達成でき、できなかったのは数週間程度にとどまります。

 

Xで投稿を続けていると、どうしてもフォロワー数やインプレッション数といった数字が気になってしまいます。SNSは数字が顕著に表れる媒体なので、「意識するな」と言っても無理があるのだと思います。

それでも、やめてしまうのはせっかく積み重ねてきたものがもったいない――そう感じたからこそ、この1年間投稿を続けてきました。

次回は、1年間毎日投稿を続けてきた中で、私なりに気づいた「どんな投稿が効果を生むのか」についてお話ししたいと思います。

 
 

先日、ついに新しいスマホに買い替えました。

画面は割れて見づらいし、電池もすぐ切れるし、周りからは「社長なのにそんなの使っているんですか?」と笑われる始末。さすがに限界を感じたのです。


ところが、本当に大変だったのは買い替え手続きよりも、その後に待っていた「パスワード地獄」でした。数字、英字、大文字、記号の組み合わせで、サービスごとに違うパスワードを設定しなければならない。覚えられるわけがありません。

結局、メモを取っておくしかないのですが、中にはメモを忘れてしまうケースもあり、「あれ、パスワード何にしたっけ?」と結局パスワードを問い合わせる羽目になるのです。


今回一番焦ったのはLINEでした。

私の場合、パスワードを使うのはスマホを替える時くらいなので、数年前に控えていなかったことを大後悔。アカウントが移せず冷や汗をかきました。

最後はなぜか移行できましたが、どのパスワードが正解だったのか未だに謎です。次の買い替えが怖いくらいです。


もちろん、セキュリティの大切さは理解しています。個人情報が流出して犯罪に使われるニュースを見れば納得です。でも、便利になるはずの技術が、逆に不便を増やしているのでは?とも感じてしまいます。


おじさんとしては「パスワードなしで安全に使える社会」が来てほしいと願っていますが、現実はそう甘くないのでしょう。泥棒や悪人がいる限り、仕方ないのかもしれません。


それにしても――私のように四苦八苦しているおじさんがいる一方で、若い人たちはどうやっているのでしょうか。

パスワード管理アプリでも使いこなしているのか、それともそもそも発想が違うのか。おじさんの知らない「便利なやり方」があるのなら、ぜひ教えてほしいものです。

パスワードの設定に悪戦苦闘するおじさん
パスワードの設定に悪戦苦闘するおじさん

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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