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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

【実践PR講座 その24】なぜ知られない?PR施策を成功させる「Why」の視点

前回のブログでは、PR戦略を5W1Hの視点で考え、「What(何を)」「Who(誰に)」「Why(なぜ)」の3つが特に重要であることを説明しました。今回は、その中でも「Why(なぜ)」に焦点を当て、PR方策を考えるうえでのポイントを解説します。


PRの目的やターゲットを明確にするためには、「なぜ」を掘り下げることが不可欠です。「なぜ知らないのか」「なぜ興味がないのか」を考えることで、より効果的なPRの方向性を見出せます。

例えば、前回の野球の例を振り返ると、子どもが野球を知らない理由として、

  • サッカーの方が人気だから

  • 野球をする場所が身近にない

  • 道具をそろえるのに費用がかかる といった理由が挙げられます。


これらの「Why(なぜ)」を明確にすることで、適切なPR戦略を立てることが可能になります。


そこで、「なぜ」を掘り下げることで、ターゲットごとに異なるPR戦略を考えられます。


例1:子どもに野球の魅力を伝える

  • 野球をする場所がない → 少年野球チーム向けに球場を開放

  • 道具の費用が負担 → グローブを寄付するキャンペーンを実施

例2:女性観客を増やすための施策

  • 球場に行ったことがない → 野球観戦と楽しめるイベントを企画(例:エステ付き観戦プラン)

このように、「Why(なぜ)」を考えることで、ターゲットに最適なPR施策が見えてきます。

 

ただし、「Why(なぜ)」を考えて導き出したPR施策が、実際に実現可能かどうかも重要です。たとえば、球場にエステサロンを設置するというPR施策は話題性があるものの、多額の費用がかかる可能性があります。その結果、PRによって観客が増えたとしても、費用対効果が合わない場合も考えられます。

そのため、PR施策はマーケティング戦略や経営戦略と連携させて考える必要があります。PRの目的が企業の方向性と合致しない場合、結果として期待した効果が得られない可能性もあるからです。

 

「Why(なぜ)」を深掘りすることは、PR戦略を成功させるうえで極めて重要です。しかし、考えたPR施策が企業の経営戦略やマーケティング戦略と整合性を持つかどうかも検討しなければなりません。「なぜ」を意識しつつ、現実的なPR施策を設計することで、より効果的な情報発信が可能になります。

PR戦略を考える際は、「Why(なぜ)」を丁寧に掘り下げながらも、実現可能性や企業全体の方向性とのバランスを見極めることが求められます。

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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