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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~


社長という立場になったこともあり、最近はさまざまな場に参加する機会が増えました。そうした場では、自己紹介や会社の紹介を兼ねた挨拶を求められることが多くなります。

ただ、以前も書いた通り、PR会社でありながら自社のPRがあまり得意ではないという問題があり、うまく説明できずに短い挨拶で終わってしまうことも少なくありません。

特に「挨拶は1分でお願いします」と言われると、時間を守らなければという意識が強く働き、余計にコンパクトにまとめてしまいます。

 

一方で、他の方の挨拶を聞いていると、時間を守らない方が意外と多いと感じます。もちろん、多少長くなっても内容が面白ければ問題ありません。

ただ、実際には長い話ほどつまらない傾向があるように思います。

面白い話であれば、時間はあまり気になりません。しかし、長くて内容が薄い話は、聞いている側にとっては苦痛でしかなく、結果として印象も悪くなってしまいます。

 

では、なぜ話が長くなるのでしょうか。

一つは、話したいことが多すぎて整理されていないことです。あれもこれも伝えようとするうちに、話の軸がぶれてしまい、結果として長くなってしまいます。

また、無理に笑いを取ろうとしてうまくいかず、次のネタに移ることでさらに長くなるケースもあるように感じます。

私自身、学生時代に落語研究会に所属していたこともあり、「話すからには笑いを取らなければ」と勝手に思ってしまうところがあります。ただ、実際に笑いを取るというのはかなりのテクニックが必要で、簡単なことではありません。

 

偉そうに書いていますが、実は私自身も「話が長い」と言われることがあります。

特に自分の好きなテーマになると、つい調子に乗って話し続けてしまうことがありますし、説明をしようとすると話が長くなりがちです。

その理由を考えると、

  • 自分の説明に自信がない 

  • 相手が理解していないのではないかと不安になる

といった心理が働いているように思います。 

その不安を解消しようとして説明を付け加え、結果として同じことを何度も繰り返してしまう。これが話が長くなる原因です。

 

ただ、挨拶の場で話が長くなる人を見ていると、必ずしも同じ理由とは限らないようです。

どちらかというと、自信満々で自慢話をしているケースの方が多い印象を受けます。

長い話が好まれないことは、多くの人が理解しているはずです。それでも、こうした場では必ず数名は「長い人」がいます。

聞く側としては、どうせ長いなら、せめて面白い話か、ためになる話をしてほしいと思ってしまいます。

 

こうした挨拶を見ていると、伝えることの難しさを改めて感じます。そして同時に、「短く、わかりやすく伝えること」の重要性も強く感じます。

このあたりの話は、次回のPR特別講座で改めて整理してみたいと思います。

 

 
 

ゴールデンウィークと聞くと、子どもの頃はとにかくうれしかった記憶があります。

学校が休みになり、「どこかに遊びに行ける」というワクワク感がありました。

ところが今となっては、年末年始や夏休みと同じく「まとまった休みが取れる期間」という認識に変わっています。

 

もちろん連休自体はありがたいのですが、あの頃のような高揚感は、正直あまり感じなくなりました。

若い頃は、「この休みでしかできないことをしよう」と思い、休みそのものを楽しんでいたのだと思います。

また、子どもが小さい頃は、「どこかに連れて行かないといけない」という、半ば義務感のような気持ちで出かけていたような気もします。

 

しかし最近では、ゴールデンウィークにわざわざ遠出をしようとは、あまり思わなくなりました。

理由はシンプルで、「とにかく混むから」です。

車で出かければ、ほぼ確実に渋滞に巻き込まれます。

ようやく目的地に着いても、今度は人、人、人。どこも行列で、入るにも待ち、食事をするにも待つ。せっかくの休みなのに、待っている時間のほうが長いのではないかと思うことすらあります。

 

我が家が行列や待ち時間を好まないということもありますが、それにしても最近の混雑ぶりは、ちょっと度を超えているように感じます。

そんなわけで、ここ数年はゴールデンウィークに遠出をすることはほとんどありません。

できるだけ混雑を避けて、静かに過ごすようにしています。

 

とはいえ、この時期ならではの楽しみがあるのも事実です。

新緑が美しく、季節の花も見ごろを迎える時期です。遠出はしなくても、近場でこの季節にしか楽しめないものを探して出かけることがあります。

 

実は、この「近場の穴場探し」が最近の楽しみのひとつです。

人が少なく、渋滞もなく、それでいて自然がきれいな場所を見つけると、ちょっと得をしたような気分になります。

ただ、最近はその“穴場”もなかなか見つけにくくなってきました。情報がすぐに広がる時代なので、「いい場所」はすぐに人が集まってしまいます。

 

さて、今年のゴールデンウィークですが、どこへ行くか、そもそも出かけるのかどうかも、まだ決まっていません。

もし都合よく、混んでいなくて、景色がよくて、気持ちよく過ごせる場所が見つかれば出かけるつもりですが、そんな都合のいい場所があるのかどうか……。

 

 

さて、今年のゴールデンウィークも、穴場を探しながら過ごすつもりです。……とはいえ、毎年のことですが、結局いい場所が見つからず、気づけば混んでいる場所に足を運んでしまい、帰り道で「やっぱりやめておけばよかった」と後悔するのがオチになりそうです。

今年こそは、そんな結末にならないことを祈りたいものです。

もしどこかおすすめの“穴場スポット”があれば、ぜひ教えてください。




 
 

ニデックの永守重信氏が、不正会計の責任を取る形で名誉会長の辞任を発表し、経営から一切身を引くことになりました。

長年、日本を代表する経営者として知られてきた人物だけに、このニュースに驚いた方も多いのではないでしょうか。

永守氏の経営哲学は「永守イズム」として広く知られ、多くの書籍にもなっています。私自身も何冊か読んできましたが、非常に多くの学びを得ました。経営者になる前に読んだものもあれば、経営者になってから改めて読み直したものもあり、会社を成長させるためのヒントが詰まっていると感じています。

実際、私もその考え方に影響を受け、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という方針を参考にして、「すぐやる、なんでもやる、儲かるようにやる」という行動指針を定めました。

 

永守氏の経営スタイルは、強い信念と圧倒的な行動力に支えられていました。その結果として、ニデックを世界的企業にまで成長させたことは、まさに尊敬に値しますし、簡単に真似できるものではありません。

ただし、その哲学がすべての局面で機能し続けるかというと、そうではないのかもしれません。

「すぐやる」「必ずやる」は、自分の意思でコントロールできる要素です。

しかし「できるまでやる」は、必ずしも自分の努力だけで達成できるとは限りません。

創業期のベンチャーであれば、「やればできる」という成功体験が積み重なり、強い推進力になります。

しかし、企業規模が拡大し、世界企業となった段階では、同じ考え方がそのまま通用しない場面も増えてきます。

 

例えば、創業時には売上を倍にすることが現実的な目標だったとしても、現在の規模で同じことを求められれば、現場の社員から見れば「無理を言われている」と感じる場面も出てきます。

それが絶対的な創業者からの指示であれば、「できません」と言うことは難しくなります。

結果として、現場では何とか辻褄を合わせようとする動きが生まれ、それが不正につながるリスクも高まります。

「できるまでやる」は、チャレンジの場面では強いモチベーションになりますが、状況によってはプレッシャーとなり、場合によってはパワハラ的な圧力として受け取られることもあります。

この状態が続けば、「できない」と言えない組織が出来上がってしまいます。

そしてその結果として、不正会計のような問題が生まれてしまったと考えることもできるでしょう。

 

「できるまでやる」という方針自体は、決して間違っているわけではありません。

問題は、それを支える仕組みが十分でなかったことかもしれません。

例えば、

  • できなかった場合は正直に報告する 

  • なぜできなかったのかを徹底的に分析する 

  • その情報を社内で共有し、次の改善につなげる 

といったプロセスが機能していれば、同じ方針でも違う結果になっていた可能性があります。

人はプレッシャーをかけられ続けると、自信を失い、判断力も鈍ります。

その結果、モチベーションが下がり、組織全体のパフォーマンスも低下してしまいます。

 

永守氏ほどの経営者であれば、こうしたリスクに気づいていた可能性は高いと思います。

それでも今回のような事態に至った背景には、周囲がイエスマン化し、必要な情報が上がってこなくなっていたこともあるのではないでしょうか。

報告書にもある通り、最終的な責任は経営トップにあります。

それは間違いありません。

だからこそ、今回の件は、優れた経営者であっても避けられない難しさを示しているとも言えます。

 

経営者として、目標達成に向けてプレッシャーをかけることは必要です。

これは実際に経営をしていると強く実感する部分でもあります。

しかし、そのプレッシャーによって正しい情報が上がってこなくなることは、絶対に避けなければなりません。

この「成果を求める厳しさ」と「情報の透明性」を両立させることは、言うほど簡単ではありません。

むしろ、非常に難しいテーマです。

永守氏のような卓越した経営者であっても、そのバランスを取り続けることは容易ではなかった。

そう考えると、この問題はすべての経営者にとって他人事ではないと感じます。

 

今回の出来事は、単なる経営問題ではなく、PRの観点から見ても重要な示唆を含んでいます。

企業がどれだけ優れた理念や哲学を掲げていても、それが現場でどう受け取られ、どう運用されているかによって、企業の評価は大きく変わります。

そして、組織の内部で起きていることは、最終的には必ず外部に伝わります。

企業のPRとは、単に良いイメージを発信することではなく、実態とメッセージを一致させることに他なりません。

 

今回の件は、尊敬していた経営者であっただけに、非常に残念に感じています。

しかし同時に、経営と組織、そしてPRの難しさを改めて考えさせられる出来事でもありました。

この教訓をどう活かすかが、これからの経営に求められているのだと思います。

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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