- 徳夫 橘川
- 9月16日
- 読了時間: 3分
マクドナルドの人気商品「ハッピーセット」。子供がワクワクしながら楽しめるようにと企画されたセットですが、ここ最近、付録のおもちゃをめぐって転売問題が大きな話題となりました。
5月には「ちいかわ」のおもちゃが登場し、ファンが殺到。あっという間に品切れとなり、多くがフリマサイトに出品されました。さらに先月の「ポケモンカード」では転売対策を講じたにもかかわらず、転売目的での購入が後を絶たず、結果として食品を破棄するという「食品ロス問題」にまで発展してしまいました。
ハッピーセットは、元々マクドナルドのオリジナル玩具を中心に展開していました。私の子供にも小さい頃にはよく買ってあげました。子供が楽しめるセットを提供することで、家族で来店してもらう─それがハッピーセットの狙いです。
玩具メーカーにとっても、自社製品を広くPRできる絶好の機会であり、マクドナルドにとっては集客効果が期待できる。まさに「三方よし」の仕組みでした。
しかし、人気キャラクターとのコラボが始まると状況は一変します。ちいかわやポケモンといった“子供だけでなく大人も欲しがるキャラクター”になると、需要は一気に膨れ上がります。その中には「転売すれば儲かる」と考える大人も現れ、結果として本来の対象である子供に行き渡らなくなってしまうのです。
転売の温床として名前が挙がるメルカリなどのフリマサイトも、もともとは「不用品を必要な人に届ける」ための仕組みであり、それ自体が悪いわけではありません。ただし、需要過多の商品に関しては転売ヤーのビジネスモデルとして利用されてしまっているのも事実です。
今後、一定のモラル規制やルール作りが求められるかもしれませんが、それだけで根本的な解決につながるとは考えにくいでしょう。
マクドナルドが人気キャラクターとのコラボを展開するのは、当然ながら売上や話題性を狙った経営判断です。オリジナルの無名な玩具に戻せば転売問題は落ち着くかもしれませんが、同時に売上や認知度アップの機会を失うことになります。企業としては、どうしても「売れるものを企画する」方向に動くのは自然なことです。
つまり、「売れるキャラクターを使えば転売が増える」「オリジナル玩具にすれば売上が落ちる」という矛盾を抱えており、このジレンマを解決するのは容易ではありません。
先日、マクドナルドがハッピーセットの転売対策として、大量注文を行うアカウントの利用停止などの措置を講じることを発表しました。今回の問題の一番の原因は「転売ヤー」です。彼らの目的はほとんどが金儲けであり、子供の楽しみは二の次になってしまっています。
マクドナルドやフリマサイトだけに責任を求めても限界があり、法律的な規制や社会的なルールづくりが必要なのかもしれません。ただし、今回の措置だけで根本的な問題が解決できるとは思えません。
ハッピーセットは「子供の小さな楽しみ」の象徴です。その楽しみを大人の欲や金儲けが奪うようなことは、できる限り防いでいかなければならないでしょう。