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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~


「落語研究会出身です」と言うと、決まって「じゃあ一席やってよ」とか「ここで〇〇とかけて一つ」などと言われることがあります。

ですが、落語研究会はあくまでアマチュアです。卒業してからまともに稽古をしているわけでもありませんし、突然落語ができるはずがありません。仮に「ではやりましょう」と言ったとして、下手な落語を20分も黙って聴いてくれるのかと考えると、それはそれではなはだ疑問です。そもそも、きちんとした落語をやろうとすれば、それくらいの時間は必要なのです。

一般的に落語の楽しみ方といえば、「演じる」「聴く」という二つが思い浮かびます。ですが、私はそこにもう一つ、「プロデュースする」という楽しみ方があると思っています。

 

私がプロデュースしてきた落語会に、「さがみはら若手落語家選手権」という催しがあります。今年で25回目の開催となりました。

正直に言えば、始めた当初は、ここまで長く続くとはまったく想像していませんでした。この落語会は、「気軽に落語を楽しめる市民参加型イベント」というコンセプトで企画したものです。

4回の予選会を行い、その通過者を観客の投票によって決定します。そして、本選会でも審査員や主催者の判断は一切入れず、最終的な優勝者もすべてお客様の投票で決まるという仕組みです。この「観るだけでなく、参加できる」仕組みが、多くの方に受け入れられたのだと思っています。

さらに、優勝者は市内で落語会を開催でき、その際の出演料は選手権の主催者が負担します。この仕組みが噺家にとっての励みとなり、地域にとっても文化的な広がりを生み、結果として長く続けられた要因の一つになったと感じています。

おかげさまで、予選会・本選会ともに、毎回ほぼ満員のお客様にお越しいただいています。

 

とはいえ、この企画はどちらかと言えば「うまくいった例」であり、落語会のプロデュースが常に順調にいくわけではありません。

「この噺家を呼びたい」と思えば、たいていは人気落語家です。そうなると、まずスケジュールが合わない。仮に空いていたとしても、今度は落語ができる会場が空いていないということもあります。

さらに、人気落語家の出演料を考えると、どうしても入場料を高く設定せざるを得ず、そうなると今度は集客が難しくなります。結果として、赤字になってしまうケースも少なくありません。

つまり、「人(噺家) × 箱(会場) × お金」この三つがうまく噛み合わなければ、落語会の開催は難しいのが現実です。

 

これまで、さまざまな落語会の企画を考え、実際に実施してきました。

  • 会場の立地にちなんだ落語会

  • ビジネスをテーマにした落語会

  • 相続のヒントを盛り込んだ落語会

どれも、「落語を入口にして、少し違った切り口で楽しんでもらえないか」と考えたものです。

先日は、蕎麦屋で“そばにまつわる落語”を語る落語会を、採算度外視で開催させてもらいました。演目は「そば清」。これは以前から「ぜひやってみたい」と思っていた企画だったので、実現できたことを素直にうれしく思っています。

 

なかなか自分の思い通りの落語会を自由にできるわけではありませんが、「こんな落語会があったら面白いのではないか」と考え、それを形にしていくプロセスには、演じるのとは違った楽しさがあります。

もし、こんな私の企画に「ちょっと面白そうだな」と感じていただけるスポンサーさんがいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください(笑)。

 
 

社長になって、気がつけば2年以上が経ちました。それなりに時間は経っているはずなのですが、正直に言うと、いまだに「自分が社長だ」という実感が完全には持てていません。

社員からは「社長」と呼ばれるようになり、社内ではそれなりに自覚も芽生えてきました。ただ、取引先や他社の方から「社長」と呼ばれると、どこか他人事のように感じてしまう自分がいます。「え、私のことですか?」と心の中で思ってしまうこともしばしばです。

 

世間一般で言う「社長」と聞くと、・お金持ち・偉い・威厳があるといったイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。特にIT系のカリスマ社長が、セレブな生活をSNSで発信しているのを見ると、「ああ、こういう人が“社長”なんだろうな」と思うのも無理はありません。

また、大企業の社長ともなれば、何万人という社員を率い、最終決断を下す立場です。その責任の重さから、自然と威厳も生まれるのでしょう。

 

一方で、私はというと――。一緒に会社を立て直してきた社員たちと、社長就任後も態度を変えることなく接してきました。その結果、威厳のある社長というより、「気軽に話しかけられる社長」と言えば聞こえはいいですが、悪く言えば「ちょっとナメられている社長」かもしれません。

 

さらに現実的な話をすると、私が社長になった目的は会社の経営再建です。再建が軌道に乗るまでは役員報酬も抑えており、収入は他社の一般社員と大差ない水準です。ボーナスもありません。はっきり言って、「社長=お金持ち」というイメージとは程遠い生活をしています。

下手をすると、景気の良い大企業の新入社員より年収が低いのは間違いないです。中小企業の経営者には、こうした「名ばかり社長」的な立場の人も、実は少なくないのではないでしょうか。

 

だからこそ、世間の方にはひとつだけ知っておいてほしいのです。「社長」という肩書きだけで、すべて同じ枠で見られると、少し困ってしまいます。

「社長なんですね」と言われると、どこか後ろめたい気持ちになるのは、自分の中で“世間が思う社長像”と“現実の自分”が一致していないからだと思います。

それは心がけの問題だと言われれば、その通りかもしれません。

ただ、他人より良い生活をして、多くの社員から尊敬される存在にならないと、なかなか自分自身が「社長になった」と実感できないのも事実です。

 

――というわけで。社長としての自覚をしっかり持てるようになるためにも、ぜひ皆さま、PRのお仕事をお待ちしております。売上が伸びれば、私の社長としての実感も、きっと一緒に育っていくはずです。

まだ社長に慣れきれない私ですが、今日も修行中です。

 
 

~広告とPRの“認識のズレ”を整理する~



PR会社の仕事は、この業界に関わっていない人にはなかなか理解してもらえません。その大きな理由の一つが、「PR」という言葉の捉え方が、世間一般と広告・広報業界でズレていることにあります。

 

調べてみると、次のような説明が出てきます。

「企業体や官庁が、事業内容などの公共的価値を大衆や関係方面によく知ってもらい、その信頼・協力を強めようとする宣伝広告活動。」

この定義からも分かるように、一般的には「PR=広く知らしめる活動」という認識が広く浸透しています。

そのため日常会話でも、「この店はPRがうまいね」「PRをしないと何をしている会社か分からない」といった使われ方をします。

この感覚自体は、決して間違っているわけではありません。

 

一方で、広告・広報業界におけるPRは、少し意味が異なります。業界内で「PR」と言えば、一般的には パブリシティ を指します。

パブリシティとは、「広告費を支払わず、メディアに記事として紹介してもらう活動」のことです。

つまり、

  • 広告:お金を払って枠を買い、情報を載せる

  • PR(パブリシティ):編集判断で無料掲載される

という違いがあります。

このため、「PR会社って何をする会社なの?」と聞かれると、広告代理店の方が分かりやすいと感じる人が多いのも無理はありません。

 

実は、PRの考え方は日本と欧米で大きく異なります。

欧米では、PR会社が中心となり、PR戦略の一つとして広告を活用するという考え方が一般的です。

PR会社は、

  • 広告

  • メディア活用

  • ロビー活動


    など、あらゆる手段を使って「伝える」ことを設計します。

一方、日本では、広告代理店がマーケティングの中心となり、その補完策としてメディアPR(パブリシティ)を行うケースが多く見られます。

これは、大手広告代理店にとって、広告収入の方がビジネスとして規模が大きく、広告を主軸に提案してきた歴史があるためだと考えられます。

 

こうした背景から、日本のPR会社は、「無料でメディアに載せてもらう会社」というイメージを持たれがちです。

実際、パブリシティは掲載料がかからないため、広告ほど高い費用を請求しないケースが多いのも事実です。

その結果、

  • PR会社に頼めば無料掲載が当たり前

  • PR会社から広告提案をされても採用されない

といった構図が生まれます。

このような経緯もあり、PR会社は、広告やマーケティングを行っている人にしか理解されにくい存在になっているのかもしれません。

 

私は、PRとは、「広く知らしめる活動」そのものだと考えています。

そのため、このブログでも繰り返しお話ししている通り、広告も、営業も、メディア対応も、すべてPR方策の一部だと捉えています。

もちろん、この考え方が日本では一般的でないことも理解しています。PR会社が「PR下手」と言われてしまうのは、日本における広告とPR(パブリシティ)の歴史的な関係を説明しなければならず、一言で伝えにくいからなのかもしれません。

 

広告を出すべきか、パブリシティを進めるべきか。それは、PR戦略次第です。

広告代理店に相談しても、PR会社に相談しても、基本的にはどちらでも問題はありません。

ただし注意したいのは、広告代理店の中には、PR(パブリシティ)を扱っていない会社もあるという点です。

依頼する際には、「広告だけなのか」「PRまで含めて提案してもらえるのか」をきちんと確認することが重要です。

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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