- 徳夫 橘川

- 4月8日
- 読了時間: 3分
~「わかりやすさ」を最優先に考えるPRの基本~
仕事の資料や新聞記事を見ていると、アルファベットの略語やカタカナ語を頻繁に目にします。
Xの投稿や紙資料、媒体など、文字数やページ数に制限がある場合、こうした表現は非常に便利です。限られたスペースの中で情報をコンパクトに伝えられるため、PRの現場でも多く使われています。
しかし、ここで注意しなければならないのは、その言葉が本当に相手に伝わっているかどうかです。
略語やカタカナ語が一般的かどうかは、人によって大きく異なります。
例えば「AI」という言葉は今や広く使われていますが、それが「Artificial Intelligence(人工知能)」の略であることを、正確に理解している人がどれだけいるでしょうか。
特に、経営用語やIT用語の略語は、その業界の人には当たり前でも、そうでない人にとっては意味が分からないことが多くあります。
現在はスマートフォンで簡単に意味を調べることができます。そのため「分からなければ調べればいい」と思うかもしれません。
しかし、PRにおいてはこれは通用しません。
なぜなら、PRの目的は「相手に理解してもらうこと」だからです。
わざわざ調べないと分からない文章は、その時点で“伝わっていない”と考えるべきです。
私がプレスリリースを作成する際に意識しているのは、略語は必ず最初に説明するということです。
例えば、
MBA(経営学修士:Master of Business Administration)
このように、略語・日本語・英語をできるだけ併記します。
スペースの関係でどちらか一方になる場合もありますが、重要なのは「記者が一読して理解できること」です。
また、その後も頻繁に登場する場合は、最初に正式名称+略語を記載し、以降は略語を使う方法が有効です。
一方で、略語にはもう一つの使い方があります。
それは、ターゲットを絞るためにあえて使うという方法です。
例えば、機械業界のエンジニアや営業担当者が日常的に使っている略語であれば、それを使うことで、
対象外の人には届かない
対象者には強く刺さる
という効果が生まれます。
つまり、略語は「分かる人にだけ伝えるためのフィルター」としても機能するのです。
略語以上に注意が必要なのが、カタカナ語です。
「コンプライアンス」のように一般化している言葉であれば問題ありませんが、まだ浸透していない言葉を、
なんとなくかっこいいから
知っていることを見せたいから
という理由で使うのはおすすめできません。
対面であれば補足できますが、プレスリリースのように不特定多数に向けた文章では、理解されない可能性が高くなります。
プレスリリースを作成する際に最も重要なのは、相手の立場に立って、分かりやすく伝えることです。
略語やカタカナ語は、使い方次第で強力なツールになります。しかし、それはあくまで「伝えるための手段」であり、目的ではありません。
「知っていることを見せたい」ために使うと、かえって伝わらなくなる――これはPRでは逆効果です。
PRとは、
自分が伝えたいことではなく、相手が理解できる形で伝えること。
その原点を忘れずに、言葉選びをしていくことが重要です。



