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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

今年の夏も、本当に暑いですね。

そんなある日、妻から「日傘をさして駅まで行ったら?」と言われました。

実は以前から勧められていたのですが、どうも気が進みませんでした。

男性で日傘をさしている人は以前ほど珍しくなくなったとはいえ、まだ少数派ですし、駅や人混みで日傘をさしている人を見ると、「ちょっと邪魔だな」と思っていたこともあって、自分が使う気にはなれなかったのです。

 

実は、この日傘は妻が以前から「欲しい」と言っていたものでした。人気商品だったようで、どこへ行っても売り切れ。ようやく在庫のあるお店を見つけて、誕生日プレゼントとして買いに行ったのです。

そのお店には、「体感温度が下がる」を体験できるコーナーがあり、傘をさした時とささない時の違いを試すことができました。

確かに、傘の下に入ると暑さが和らぐ感じがして、「これはすごいな」と思ったことを覚えています。

とはいえ、その時は「お店の演出もあるだろうし、本当に毎日使ってもこんなに違うのかな」と、どこか半信半疑でした。

ところが、自分で駅まで使うようになってみると、「あの体験は本当だったんだ」と実感しました。暑さが少し和らいで感じますし、駅に着いた時の汗も以前より少ないような気がしています。

 

もちろん、科学的に測ったわけではありません。

でも、「涼しい気がする」というだけでも十分な効果なのかもしれません。

そもそも妻が勧めた理由は、暑さ対策というより紫外線対策でした。

最近、鏡を見るたびに思うのです。

「シミが増えたなあ……」と。

思い当たる原因はあります。

 

15年近く続けているランニングです。

私はランニング中、ほとんど日焼け対策をしてきませんでした。

日焼け止めクリームは汗をかくとベタつく気がして面倒でしたし、「そのくらい大丈夫だろう」と思っていたのです。

夏だけでなく、一年中太陽の下を走っていますから、紫外線を浴び続けてきたことになります。

そう考えると、シミが増えるのも当然なのかもしれません。

 

そこで日傘に続き、今度は日焼け止めクリームにも挑戦することにしました。

最近はスポーツ用で汗や水に強いものもあるそうで、「これならランニングでも大丈夫かな」と試し始めたところです。

まだ使い始めたばかりなので、効果はこれからのお楽しみですが、少なくとも「何もしないよりはいいだろう」と思っています。

 

それにしても、この歳になってシミを気にするようになるとは、自分でも少し驚いています。

悪いことではないのでしょう。

健康を気遣うのと同じように、自分の肌を気遣うことも大切なのだと思います。

それでも、どこか照れくさい気持ちがあるのは、「男はそんなことを気にするものじゃない」という昭和のおじさんの価値観が、まだ心のどこかに残っているからなのかもしれません。

 

とはいえ、これからは男性も日傘をさすことが当たり前の時代になっていくのでしょう。

そう考えると、「おじさんにしては、意外と時代の先を行っているな」と、内心ちょっとだけ自慢したくなります。

昭和のおじさんだからといって、「昔は男は日傘なんてささなかった」と意地を張って、時代の流れに乗り遅れるのは避けたいものです。

せっかくなら、「あのおじさん、意外と新しいものを素直に取り入れているね」と言われるくらい、時代に敏感なおじさんでいたいと思っています。

……まずは日傘と日焼け止めクリームを使いこなして、「シミの少ないおじさん」を目指すところから始めたいと思います。



 
 

~メディアが取り上げたくなる情報とは~


前回は、コンサルタント業界などPRが難しい業種についてお話ししました。

今回は反対に、PRしやすい業種や内容にはどのような特徴があるのかを考えてみたいと思います。


PRしやすい業種の代表例としては、

  • 新商品メーカー 

  • 飲食店 

  • 展覧会 

  • イベント 

  • 商業施設 

  • 観光施設 

  • エンターテインメント業界 

などが挙げられます。


これらの業種には共通点があります。

まず一つ目は、「写真や映像になること」です。

テレビやWEBメディアは視覚的に伝えられる情報を好みます。

新しい商品、美しい料理、イベントの様子、観光地の景色などは、写真や映像だけでも興味を引くことができます。


二つ目は、「一般消費者との関係が深いこと」です。

BtoCのサービスは、多くの人が自分事として捉えやすいため、メディアも扱いやすくなります。


三つ目は、「体験できること」です。

食べる、見る、触る、参加する。

実際に体験できるものは取材もしやすく、記事にもなりやすい傾向があります。


四つ目は、「新規性があること」です。

新商品、新サービス、新施設など、「新しい」という要素はニュース価値につながります。


五つ目は、「社会性があること」です。

例えば、

  • 地域活性化 

  • SDGs

  • 環境問題 

  • 子育て支援 

  • 高齢化対策 

などは、企業の活動であっても社会的なテーマとして取り上げられる可能性があります。


このように考えると、PRしやすい業種というよりも、メディアや生活者にとって分かりやすい話題を持っている業種がPRしやすいと言えるでしょう。


一方で、前回お話ししたコンサルタント業界や代理店業なども、切り口を工夫すれば十分PRは可能です。

結局のところ、PRの成否を決めるのは業種そのものではありません。

どのようなストーリーで伝えるのか。

どのような社会的意義があるのか。

どのような人に役立つのか。

それを整理し、わかりやすく伝えることができれば、どの業種にもPRの可能性はあります。


PRしやすい業種には確かに特徴があります。しかし、最終的にPRの成否を決めるのは業種ではありません。どのようなストーリーを組み立て、相手にわかりやすく伝えられるかが重要なのです。メディアや生活者が「なるほど」「面白い」と感じるストーリーを作ることができれば、PRが難しいと言われる業種でも十分にメディアへ情報を届けることは可能です。私は、PRとは「何を伝えるか」以上に、「どういうストーリーで伝えるか」が成功の鍵になると考えています。

 

 
 

昨日、FIFAワールドカップ2026がスペインの優勝で幕を閉じました。

6月11日(日本時間では12日)に開幕した約1か月にわたる熱戦も終わり、少し寂しさを感じる一方で、「そろそろ別の話題でもいいかな」と思う気持ちもあります。

実際、大会期間中はテレビをつければワールドカップの話題ばかりでした。

 

日本代表がブラジルに敗れた後は報道量も少し落ち着きましたが、もし日本がさらに勝ち進んでいたら、連日ワールドカップ一色だったのではないかと思います。

世界中でこの大会を観戦し、一喜一憂している人は10億人を下らないでしょう。

もちろん、出場国とそうでない国では関心の度合いは異なりますが、それでもサッカーは世界最大級のスポーツです。自国が出場していなくても試合を楽しむサッカーファンは数多くいます。

 

私自身、世界規模で見れば、ワールドカップはオリンピック以上の盛り上がりを見せるスポーツイベントだと感じています。

こうした世界的なイベントを、PRの視点から見ると、一つ大きな教訓があります。

それは、これほど大きな話題がある期間にPRイベントを開催しても、メディアには取り上げられにくいということです。

 

特に、日本代表の試合日には注意が必要です。

勝っても負けても、その日のニュース番組は試合結果や選手のコメントが中心になります。WEBメディアやSNSでもワールドカップ関連の投稿が圧倒的に増えるため、それ以外のニュースはどうしても埋もれてしまいます。

 

もちろん、イベントには会場の都合や関係者のスケジュールなどもあり、「その日しか開催できなかった」というケースもあるでしょう。

ワールドカップの組み合わせが決まるのは大会前ですから、それ以前に計画していたイベントであれば、不運だったと言うしかありません。

 

しかし、ワールドカップが6月から7月に開催されること自体は以前から決まっています。

季節性がないイベントであれば、この時期を避けるだけでもPR効果は大きく変わる可能性があります。

これはワールドカップだけの話ではありません。

例えば、高校野球の決勝戦、日本シリーズ、バレーボールの国際大会なども、結果次第では大きく報道されます。

 

テレビ局が主催や放映権を持つ大会は、その局を中心に大きく扱われる傾向がありますが、優勝や歴史的な出来事が起これば、他局や新聞、WEBメディアでも一斉に報道されます。

だからこそ、PR担当者は「何を発信するか」だけでなく、「いつ発信するか」にも気を配る必要があります。

どんなに良いイベントでも、世の中が別の大きな話題で持ちきりであれば、本来得られるはずのPR効果を十分に発揮できません。

PRでは「内容」が重要なのはもちろんですが、「タイミング」も同じくらい重要です。

社会全体の関心がどこに向いているのかを見極め、その流れを読みながら情報発信を行うことも、PR担当者に求められる大切な役割なのです。

 

ワールドカップのような世界的スポーツイベントは、多くの人に感動や興奮を与えてくれます。その一方で、PR担当者にとっては、社会全体の話題が一つに集中する「特別な期間」でもあります。

だからこそ、PRでは「何を発信するか」だけでなく、「いつ発信するか」を見極めることが重要です。世の中の関心がどこに向いているのかを読みながら情報発信のタイミングを考えることも、PRの大切な仕事の一つなのです。

ワールドカップのような大きなスポーツイベントは、決してPRの天敵ではありません。むしろ、世の中の関心がどこに集まるのかを教えてくれる存在であり、その流れを踏まえてPR戦略を組み立てることの重要性を改めて感じさせてくれるイベントだと思います。

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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