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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

6月は「ジューンブライド」の季節です。日本では梅雨の時期にあたり、気候的には決して結婚式に向いているとは言えませんが、それでもこの時期に結婚式を挙げたいと考える人は少なくありません。

やはり、ウエディングドレス文化が定着したことで、欧米の「6月の花嫁は幸せになれる」という価値観が日本にも浸透しているのでしょう。

 

PRの観点から見ると、結婚というのは非常に強い話題性を持っています。

芸能人やスポーツ選手など有名人の結婚は、大きなニュースとして取り上げられ、多くの人の関心を集めます。

恋愛スキャンダルとは違い、「結婚」は基本的に祝福される話題です。さらに、人は有名人のプライベートに興味を持つため、「知りたい」というニーズにも合致しています。

そのため、結婚発表は昔から非常に優秀なPRコンテンツでした。

以前であれば、有名人の結婚式がテレビ中継されることも珍しくありませんでした。実際、結婚式というイベントは、演出も感情も詰まっていて、見ている側も楽しめる“コンテンツ性”があります。

 

ただ最近は、そもそも結婚式を挙げない人が増えています。

私自身、若い頃はかなり多くの結婚式に出席しましたが、最近では招待される機会もめっきり減りました。

実は、私の姪もコロナ禍で結婚したのですが、結婚式を挙げなかったどころか、事前の連絡もなく、後から知る形となり、少し寂しい気持ちになりました。

もちろん、本人たちの自由ですし、価値観の変化もあるのでしょう。ただ、それだけ「結婚」や「結婚式」に対する認識が、特に若い世代を中心に変わってきているのは間違いないと感じます。

 

ここまで「結婚はPRネタとして強い」と書いてきましたが、実は企業PRとの相性はそれほど良くありません。

季節ネタ、周年記念、受賞歴などは企業PRに結びつけやすいですが、結婚はあくまで個人の出来事です。

例えば、有名IT企業の社長が結婚すればニュースになるかもしれませんが、一般企業の社長が結婚したところで、大きな話題にはなりません。

つまり、結婚というネタは「受け手は興味を持つ」が、「発信側がコントロールしにくい」という特徴があるのです。

 

現在、日本では少子化が大きな社会問題になっています。

そう考えると、国としても「結婚」や「出産」が前向きで幸せなものだというイメージを、もっと積極的にPRしていく必要があるのではないでしょうか。

実際、有名人の結婚や出産は、今でも大きなニュースになります。それだけ社会的関心が高いテーマなのです。

であれば、単なるゴシップとして扱うのではなく、

  • 家族を持つことの魅力 

  • 子育ての楽しさ 

  • 結婚生活の幸せ 

などを、人気のある芸能人や著名人を活用して発信していくことも、少子化対策の一つのPR戦略になるように思います。

 

結婚に対する価値観は時代とともに変わっています。ただ、それでも「誰かの幸せを祝福したい」という気持ちは、多くの人が持っている感情ではないでしょうか。

だからこそ、結婚というテーマは、今でも人の心を動かす力を持っています。

少子化対策というと、補助金や制度設計ばかりが議論されがちですが、「結婚や家庭を持つことへの前向きなイメージづくり」も、実は重要なPRなのかもしれません。

 
 

~記者会見はいらない時代なのか?~



最近、芸能人の結婚のニュースは、本人のSNSから発信され、それがそのままニュースになるケースが増えてきました。一昔前であれば、週刊誌にスクープされ、記者会見を開いて正式に発表するという流れが一般的でしたが、今は本人がSNSやブログで発信し、それをメディアが取り上げる形が主流になりつつあります。

芸能人の場合であれば、たとえ詳しいエピソード(交際のきっかけやプロポーズの言葉など)が語られなくても、あくまで私人ですから、「本人の自由」として受け止めることができます。

 

しかし最近では、公人である大臣や議員までもが、SNSで発信して終わりというケースが増えているように感じます。

本来、記者会見という場は、単に一方的に発表するだけではなく、その内容に対して疑問があればその場で質問できるという大きな役割があります。

記者は「国民の代表」というと少し大げさかもしれませんが、少なくとも世間が知りたいことを代弁している存在です。そのため、本人が語った内容について、疑問点を掘り下げ、より理解しやすい形で伝えるという役割を担っています。

もちろん、最近ではスキャンダルを追及することに重きを置く記者もいるのは事実ですが、本来の記者会見の意義は、情報を深く理解させるための場にあります。

 

一方、SNSは自分の考えをダイレクトに伝えられるという大きなメリットがあります。特に、メディアが自分の意図通りに報じてくれないと感じている政治家にとっては、有効な手段でしょう。

実際、この流れは特にアメリカのトランプ大統領の発信スタイル以降、世界的に広がったとも言われています。

ただし、SNSはあくまで一方通行の情報発信です。その内容が正しいのかどうかをその場で検証する仕組みはありません。

さらに、受け手も自分の考えに近い情報だけを選んでしまいがちで、結果として情報が二極化しやすいという問題もあります。

 

本来であれば、メディアがその情報を検証し、メリット・デメリットや問題点を整理して伝えることで、国民はより正確に判断することができます。

しかし、最近のメディアを見ていると、有名人や政治家のSNS投稿をそのまま記事として掲載するケースも増えており、「それは本来のメディアの役割なのか?」と疑問を感じる場面もあります。

背景には、アクセス数を稼ぐために、コストをかけずに話題性のある情報を扱いたいという事情もあるのでしょう。それは理解できないわけではありませんが、それでもメディアとしての矜持は守ってほしいところです。

 

PRの観点から見ると、SNSによる直接発信は非常に強力な手段です。

ただし、それだけに頼るのではなく、第三者の視点を通じて情報を補完することが、信頼性を高める上で重要です。

SNSだけで完結する情報発信は、コントロールしやすい反面、疑問を残したままになりやすく、結果として不信感を生む可能性もあります。

 

昨今の政治家によるSNS発信の増加は、発信する側だけの問題ではなく、それを受け止めるメディア側にも課題があると感じます。

本来、

  • 正確な情報を精査して伝えるメディア

  • それを適切に活用する政治家 

この両方が機能してこそ、国民は正しい判断ができるはずです。

情報があふれる時代だからこそ、何をどう伝えるか、そしてどう受け取るかが、これまで以上に重要になっているのだと思います。

そうなると、記者会見の企画や運営を担うPR会社としては、「出番が減ってしまうのではないか」と少し心配になるのも正直なところです。

とはいえ、それも時代の流れなのかもしれません。SNSとメディア、それぞれの役割をうまく活かしながら、より良い情報発信の形が生まれることを期待したいと思います。

 
 

4月から、自転車にも交通反則通告制度、いわゆる「青切符」制度が導入されました。自転車通勤の増加や、スマートフォンを操作しながらの運転など、悪質な運転が社会問題化してきたことを受けての制度改正です。

私自身、街中で危険な自転車運転を目にすることもありますし、実際に危険を感じた経験もあるため、この制度そのものは必要なものだと思っています。

 

ただ一方で、自転車を運転している人が、どれだけ道路交通法を理解しているのかと言えば、かなり疑問を感じます。

自動車であれば、免許更新時に講習があり、道路交通法の改正点などを学ぶ機会があります。しかし、免許を持たない人は、ニュースなどで断片的に知る程度で、細かなルールまではなかなか理解できません。

そもそも、自転車は免許なしで誰でも乗れるため、「交通ルールを学ばなければならない」という意識自体が薄いのかもしれません。

となると、交通ルールを学ぶ機会は、小学校の交通安全教室くらいしかないことになります。

 

私は自動車も自転車も運転しますが、自動車を運転していると、本当に危険な自転車を多く見かけます。

  • 逆走 

  • 信号無視 

  • 傘差し運転 

  • スマホ操作運転 

などは、見ていてヒヤッとすることも少なくありません。

とはいえ、いざ自分が自転車に乗ると、信号無視まではしなくても、一時停止を完全に守れているかと言えば自信はありません。

恐らく、日本人の感覚として、自転車は「車両」というより、どこか「歩行者に近い存在」として認識されているのだと思います。

実際、自転車と歩行者が共用の信号もありますし、横断歩道で待っている自転車に対して、自動車が止まってくれることもあります。

そうした日常の感覚が、「自転車=歩行者寄り」という認識を強めているのでしょう。

 

本来、自転車は車道を走るのが原則ですが、日本の道路事情を考えると、「歩道を走った方が安全では?」と思う場面も少なくありません。

実際、自動車を運転していると、自転車は歩道を走ってほしいと思うこともありますし、自転車側から見ても、車道を走るのは怖いと感じることがあります。

つまり現在の道路環境は、法律上の理想と現実が完全には一致していない部分もあるのです。

 

今回の制度改正によって、自転車の危険運転に対する意識が高まったこと自体は、とても良いことだと思います。

過去を振り返っても、

  • オートバイのヘルメット着用 

  • 自動車のシートベルト 

などは、「違反になる」という認識が広がったことで、一気に定着しました。

そう考えると、「罰則を設けることで認知を広げる」というのは、PR手法として非常に効果的なのかもしれません。

ただその一方で、「罰を与える」というやり方は反発も生みやすく、特に今回のように免許を持たない人にも周知しなければならない制度では、もう少し丁寧な伝え方が必要だったようにも感じます。

 

今回の制度改正で最も重要なのは、「自転車は車両である」という認識を国民全体に持ってもらうことだと思います。

単に違反を取り締まるだけではなく、

  • なぜ危険なのか 

  • なぜルールが必要なのか 

  • どうすれば安全になるのか 

を、行政側がもっとわかりやすくPRしていく必要があるのではないでしょうか。

制度を作るだけでは人の意識は変わりません。だからこそ、ルールを社会に浸透させるための「伝え方」が、これからますます重要になってくるように感じます。

 
 

著者・橘川徳夫 プロフィール

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中央大学経済学部卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、2001年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わってきた。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングがクライアントに好評を博している。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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