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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

【PR特別講座】PRを成功に導く「企画力」と「調整力」

更新日:10月24日

~引き出しの多さがPR担当者の実力になる~


PRを仕事にしていると、「PRがうまくいく人は、どんな能力を持っているのか?」という質問をよく受けます。私なりに答えるとすれば、「企画力」と「調整力」――この2つに尽きると思います。

どちらも一朝一夕に身につくものではありませんが、PRという仕事の本質を理解するうえで欠かせない力です。今回はこの2つについてお話ししたいと思います。

 

PRがうまくいくためには、単に情報を発信するだけではなく、「相手の立場に立って、興味を持ってもらう」ことが欠かせません。

しかし、同じことを繰り返していては新鮮味が薄れ、伝わる力も弱くなります。だからこそ必要なのが「企画力」――つまり、新しい考え方や切り口を見つける力です。

しかしながら、企画力は、すぐに身につくものではありません。多様な知識や経験を蓄積しておくことが大切です。幅広い分野の知識があればあるほど、アイデアを組み合わせて新しい企画を生み出すことができます。

逆に、知識が限られていれば、発想も狭くなりがちです。よく「引き出しを増やせ」と言われますが、それは単に知識を増やすだけではなく、自分が経験した成功や失敗を分析し、次に活かせるようにすることでもあります。

実際に行動し、試行錯誤して得た経験は、知識よりも深い“実践的な引き出し”になります。PRの現場では、その「中身の濃い引き出し」がものを言うのです。

 

もう一つの重要な能力が「調整力」です。

PRは一人で完結する仕事ではありません。たとえばPRイベントを実施する場合、主催者・イベント会社・芸能事務所・ゲスト・後援企業・自治体・メディアなど、さまざまな立場の関係者が関わります。

当然、それぞれの立場で意見や要望があります。どこか一方の意見だけを優先してしまうと、他の関係者に不満が残り、結果的に良いPRにはつながりません。

調整力とは、全員にとって納得のいく形を見つける力です。そのためには、相手の話を丁寧に聞き、何を求めているのかを見抜く洞察力も必要になります。

そしてこの調整力もまた、経験と知識の「引き出し」が多ければ多いほど発揮しやすくなります。過去に似たような課題を乗り越えた経験があれば、冷静に着地点を見つけることができるからです。

 

企業のPR担当者であれば、日々の業務を通じて経験と知識を積み重ね、確実に“引き出し”を増やしていくことができます。しかし現実には、人事異動や組織の事情で長期間PR業務を担当し続けることは難しいのが実情です。ようやく経験が蓄積されてきた頃に部署が変わる、というケースも珍しくありません。

その点、PR会社は常にPR業務を専門としており、さまざまな業界・案件を通じて経験値を高めています。個人だけでなく、会社全体としてノウハウや知見を共有しながら成長していくため、PRの蓄積量が圧倒的に違います。

企業側に専任の担当者がいない場合や、担当者を育成する時間的余裕がない場合には、PR会社に依頼するという選択が、結果的にもっとも効率的で効果的だといえるでしょう。

PR会社は、単に広報活動を代行する存在ではありません。客観的な視点から企業の強みや課題を整理し、メディアや生活者に届くストーリーへと再構築する“パートナー”です。企画力と調整力――この2つを継続的に磨き続けているのが、PR会社の最大の強みでもあります。

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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