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無知の玉手箱
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【PRコラム】フジテレビ会見から考える、ジャーナリストのあるべき姿

執筆者の写真: 橘川 徳夫橘川 徳夫

1月27日にフジテレビで行われた記者会見について、前回は会見する側(フジテレビ)について考えを述べましたが、今回は出席したメディア(ジャーナリスト)について私の考えをお話ししたいと思います。


まず、会見中に怒鳴ったり、ヤジを飛ばしたり、フジテレビの出席者に対して一方的に不満をぶつける方がいたことが気になりました。記者会見は、会見する側と取材する側が対等な立場で成り立つものだと思います。会見する側は、メディアを通じて自分たちの考えを広く伝えてもらうために開きますし、取材する側は、その内容を読者や視聴者に伝えるために参加します。互いにメリットがあるからこそ成り立つ場であり、本来どちらかが優位に立つものではありません。


しかし、今回の会見では、一部の記者が上から目線で質問したり、納得できない回答に対して会見の進行を妨げたりする場面が見受けられました。確かに、フジテレビに落ち度があったことは間違いありませんが、記者会見の場は冷静な議論の場であるべきです。1回目の対応に不満をつのらせていた記者の中には「ようやく自分たちの主張が受け入れられた」「フジテレビが悪いのだから、当然こちらの言い分を聞くべきだ」という意識で臨んだ人もいたのかもしれません。


次に、記者会見は会見する側の話を聞く場であり、記者が自身の意見を述べる場ではありません。しかし、フリージャーナリストの中には、質問よりも自身の考えや意見を長々と述べる方が多く、その結果、会見時間が必要以上に長引いてしまいました。記者の役割は、的確な質問を通じて必要な情報を引き出し、それを記事や番組で視聴者に伝えることです。質問の意図を説明するために意見を述べるのは問題ありませんが、それが長くなりすぎると、他の記者の質問時間が削られてしまうことも考慮すべきでしょう。


さらに、記者会見の場は、ジャーナリストやYouTuberのパフォーマンスの場ではありません。今回の会見は注目度が高かったため、SNSでの注目を集めるために目立とうとする目的で参加した方もいたのではないでしょうか。実際、今回の会見は参加者の制限がなかったため、報道関係者であるかどうかを問わず出席できました。その結果、本来の報道目的とは異なる参加者が混じり、会見の進行に影響を与えた可能性があります。記者会見は報道を目的とした人々の場であり、それ以外の目的での参加は、取材を円滑に進めたい記者の妨げになるだけでなく、視聴者が必要とする情報を適切に伝えられなくなるリスクもあります。


今回の記者会見では、フジテレビだけでなく、取材する側であるジャーナリストにも厳しい批判が寄せられました。PR会社の立場から見ると、会見を開く側と取材する側は、お互いにとって有益な場であるべきです。私たちは、そのような記者会見の運営を目指して取り組んでいます。しかし、さまざまな事情が絡むため、双方が完全に納得できる会見を実現するのは簡単ではありません。それでも、最低限「誰にも迷惑をかけない記者会見」にすることが重要だと、今回の出来事を通じて改めて感じました。

 

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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