【PRコラム】訃報とPR、ちょっと考えておきたいこと
- 徳夫 橘川
- 6月24日
- 読了時間: 2分
更新日:6月24日
著名人が亡くなると、テレビや新聞、ネットニュースはその話題一色になります。最近で言えば、長嶋茂雄さんが亡くなったとき、翌日のテレビは一日中特別番組が組まれ、その影響力の大きさを改めて感じさせられました。
人の死には「ニュース性」があります。特に有名人であればあるほど、その影響範囲は広く、社会的関心も高まります。たとえ有名人でなくても、新聞には死亡記事や訃報広告欄が設けられているように、「人の死」は知っておくべき、そして知らせるべき情報のひとつとされています。
PRという立場から見ると、訃報は広報対象にもなり得ます。プレスリリースを出すことで報道されることもあります。ただし、これは他のPR案件と違って「準備しておく」ことが非常に難しいです。人がいつ亡くなるかは予測できませんし、亡くなった直後は会社や家族との調整が必要なうえ、何より感情的にも大変な時期なので、冷静に広報を判断できる状態ではないのが普通です。
また、逆にPRイベントを実施しているタイミングで大きな訃報が報道されると、それまで綿密に準備してきたイベントがニュースとして取り上げられない、ということもあります。どんなに事前準備を重ねても、「報道の優先順位」という壁には勝てない。それが現実です。
最近では、盛大な葬儀よりも家族葬を選ぶ方が増え、後日「偲ぶ会」を行うケースが一般的になりつつあります。偲ぶ会は日程調整が可能なため、広報的に準備する余地もあるかもしれませんが、やはり死後の数日は家族がすべきことが多く、PRどころではないのが実情です。
今日、私がこのテーマを書こうと思ったのは、実は父の命日だからです。父は有名人ではありませんが、そのときの慌ただしさを思い出すと、お葬式をどうするかやこれからの手続きなどを考えるだけで他のことを考える余裕なんて、まったくありませんでした。ですから、どれだけ社会的に影響のある人であっても、訃報時の広報対応まで頭が回らないのは当然のことだと思います。
それでも、会社のトップや著名人が亡くなる場合、その情報をどのように社外へ伝えるかは、あらかじめ検討しておくべき課題の一つです。特に社長や創業者など、影響力のある人物であればあるほど、「訃報の広報対応」も経営判断の一部として捉えておくことが望ましいのではないでしょうか。
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