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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

【PR特別講座】PR特別講座:BtoBでも“C”を意識せよ

更新日:3 日前

~伝わるPRの鍵は「相手の立場」と「最終消費者」~



以前この講座でも「BtoBのPRは難しい」というテーマを取り上げました。

BtoBビジネスでは、誰に情報を届けたいかが明確である一方で、いざPRとなると「どう伝えるか」が非常に難しいという話でした。

最近、あるBtoBの仕事をしていて、あらためてその“難しさ”を感じる出来事がありました。弊社では、美術館のPR業務を請け負っています。直接の取引相手は美術館や展覧会の主催者、つまりビジネスの形態としてはBtoBです。

ところが、PRの提案となると、「一般のお客様(BtoC)にどう伝えるか」を意識した内容でなければ、採用されないのです。改めて「PRはたとえBtoBでも“C”を意識しなければ伝わらない」という実感を持ちました。

 

“C”には2つの意味があります。

1つは「Customer(顧客)」、もう1つは「Consumer(消費者)」です。

BtoB企業であれば「カスタマー=取引先企業」を意識するのは当然でしょう。

しかし、「その先にいるコンシューマー=実際に使う人・体験する人」を意識したPRができているか?と問われると、意外と抜け落ちているケースが多く見られます。

 

BtoB企業のPRでありがちなのが、自社の製品やサービスの優位性を一方的に語ってしまうこと。たとえば「高性能」「高耐久」「業界シェア○%」といった内容ばかりが並ぶ資料やリリースをよく見かけます。

もちろん、製品の魅力を伝えることは大切です。しかし、その前に「相手にとって、どんな課題を解決するのか?」を考えなければ、情報は“届く”ものにはなりません。

「自分が伝えたいこと」ではなく、「相手が知りたいこと」を出発点にすることが、PRとしての第一歩です。

 

たとえば運送業を例にとってみましょう。個人宅に荷物を届ける宅配業者であれば、消費者を意識する機会も多く、サービス改善にも結びつきます。

しかし、多くのBtoB型運送業者は「企業から企業への輸送」がメインのため、直接の“C”=消費者と接点がありません。その結果、「自分たちの仕事の価値」が伝わりにくくなってしまう。

ここであえて“消費者の視点”を持つことで、「この製品がどう使われるか」「どう喜ばれているか」というゴールが見えてきます。それを社外に伝えることが、自社の存在意義や価値を伝えるストーリーにつながっていくのです。

 

最終的にモノやサービスは「消費される」ために作られています。だからこそ、“誰がどう使い、どんな満足を得るのか”というストーリーを描くことで、PRは一気に伝わりやすくなります。

そのストーリーが一般の人にも伝わるようになれば、カスタマーである取引先企業の認識や理解も深まり、PR効果がじわじわと広がっていきます。

 

「うちはBtoBだから、一般向けの発信は関係ない」と思っていませんか?実はその“思い込み”こそが、伝わらないPRの原因になっているのかもしれません。

BtoBビジネスにおいても、“最終的な使い手”や“体験する人”=Cを想像しながらPRを組み立てることで、言葉や構成が変わってきます。そして、その変化がやがて顧客との関係性や信頼にもつながっていくのだと私は感じています。

 

「Cを意識する」ことは、BtoC企業に限った話ではありません。むしろ、Cから遠い立場にあるBtoB企業にとってこそ、より意識する価値がある考え方なのです。

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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