【PR特別講座】PR特別講座:PRは本当に「安くできる」ものなのか
- 徳夫 橘川

- 2月16日
- 読了時間: 4分
~メディアPRの誤解と、PR会社の価値について~
前回のPR講座では、日本ではPRが広告業界の文脈で語られてきたため、PRそのものがなかなか正しく理解されていない、というお話をしました。
その延長線上にあるのが、「PRは安くできるもの」という認識です。
実際、問い合わせの中でも「広告予算がないので、パブリシティで何とかカバーしたい」という相談を受けることがあります。
メディアPRが実現すれば、新聞やWebメディアに掲載されても掲載費はかかりません。取材を受けた経験がある方なら、これは誰もが知っている事実でしょう。
そのため、「PR会社が頑張って記事にしてくれれば、費用はほとんどかからない」というイメージが生まれやすくなります。
確かに、メディアPRで直接かかる費用は、
プレスリリースの作成・送付
(以前であれば郵送費、現在はメール送信が中心)
といった限られたものです。掲載費と比べれば、安いのは間違いありません。
その結果、「それならPR会社に頼まず、自社でやればいいのでは?」という考えに至るのも自然な流れだと思います。
しかし、PR会社が提供している価値は、単なるリリース送付作業ではありません。
メディアとの継続的な関係性
記者に響くリリースの書き方
企画の立て方、切り口の作り方
どのメディアに、どのタイミングで、どう届けるかという判断
こうした ノウハウや経験の蓄積 こそが、PR会社の本質的な価値です。
ところが、それらは「いくらの価値があるのか」を数値で示しにくいため、正当に評価されにくいです。
広告のように「この枠はいくら」という“定価”を設定できないことも、PR会社にとっては難しい点です。
PR会社に依頼しても、必ず記事になる保証はありません。仮に掲載されたとしても、想定より小さな扱いになることもあります。
「結果が出ないものにお金をかけたくない」という気持ちは、企業側としては理解できます。
しかし、PR会社は、「紹介される可能性を高めるためのノウハウと役務」を提供しています。
それは、無料や極端に安価でできる仕事ではありません。
広告代理店であれば、広告とPRをセットにしたキャンペーンとして提案することで、仮にメディア露出が得られなくても、広告費の中で説明がつきます。
一方、PR会社が「パブリシティが難しいので、広告も併用しませんか?」と提案すると、
「そういうことを頼んだのではない」と言われてしまうことが少なくありません。
ここに、PR会社が広告提案をしづらい構造的な問題があります。
以前の講座でも触れましたが、PR活動は短期的に成果を出す手法ではありません。
メディアとの関係性を長期的に築き、情報提供を続けながら、適切なタイミングで活用していく――それが本来のPRのあり方です。
だからこそ、
紹介されなくてもリリースを出し続ける
すぐに結果が出なくても関係性を維持する
という姿勢が必要になります。
メディアPRは、「自分で主導して、必ず露出させたい」という目的には、正直あまり向いていない手法かもしれません。
「PRは安くできる」というイメージは、“結果として紹介された場合に、費用対効果が非常に高い”という事実から生まれています。
確かに、うまくメディアに取り上げられれば、広告では得られない信頼性と影響力を、低コストで得られます。
しかし、それはあくまで結果論です。
メディアPRが安くできるという業界の認識は、PR会社にとって正直なところ、仕事を進めにくくする要因になっています。
だからといって、「高額な費用を請求したい」という話ではありません。
PR会社の活動内容や役割、そしてPRによって得られる中長期的な価値について、適切な価格と評価をいただくことだと思います。それが、結果的により良いPRにつながると考えています。
PRは「安く済ませるための代替手段」ではありません。企業の価値を、時間をかけて社会に伝えていくための投資です。
そのことを少しでも理解していただければ、PR会社として、これほど嬉しいことはありません。


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