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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

【PR特別講座】メディアとの付き合い方

 ~信頼関係は「距離感」と「日常の対応」で決まる~


PR活動を進めるうえで、メディアとうまく付き合うことは欠かせない要素です。理想は「記者と信頼関係を築くこと」ですが、これは簡単なようで実は非常に難しいテーマでもあります。

今日は、私自身の経験も交えながら「メディアとの関係構築」についてお話ししたいと思います。

 

取材を受ける側からすると、実際に会うのは取材に来た“1人の記者”です。そのため、「この記者はうちに興味を持ってくれている」と考えてしまうことがあります。

しかし、記者側の立場から見れば、あなたは“数多く取材した相手のうちの1人”にすぎません。担当分野だけでも、毎月何十人と会うことがあるため、特定の企業や個人だけを特別視することはほとんどありません。

だからといって、せっかく接点ができた記者との関係を途切れさせてしまうのは非常にもったいないことです。

継続的に関係をつくる努力は必要になります。

 

かつてはメディア黎明期の名残で、飲食接待や贈り物などを通じて記者と関係をつくる企業もありました。しかし今は、コンプライアンスの観点からも得策ではありません。

現代のPRでは、「正攻法の情報提供”と“日常的なコミュニケーション」という地道な方法が最も有効であり、記者もそれを求めています。

 

PR会社であれば、複数のクライアントや多様な業界の情報を持っているため、定期的に記者へリリースを送ることで、自然と関係を維持することができます。

しかし一般企業の場合、

  • 毎月リリースを出せるほどネタがない

  • 無理にリリースを量産すると企業イメージを下げる

という課題が生まれます。

「目を引かない情報」を頻繁に送ることは逆効果になりかねません。だからといって何もしないと関係も築けません。ここに企業PRの難しさがあります。

 

私の経験から言えるアプローチ方法は、まずは、「業界紙の記者」に相談することです。

全国紙や大手テレビ局の記者は、

  • よほどニュース価値のある“お土産情報”

  • 独自性の高いスクープ性のある話

がなければ、なかなかしっかり話を聞いてくれません。

一方、業界紙や地方紙の記者は、

  • 業界知識が豊富

  • 業界内の情報ニーズが高い

  • 情報交換に前向き

という特徴があります。


業界紙の記者と会うことができれば、

  • 情報交換を通じて信頼が生まれる

  • PR戦略のアドバイスを得られる

  • 記者仲間を紹介してもらえる可能性がある

と、非常に多くのメリットが得られます。

ここから徐々に、メディアネットワークを広げていくことが可能になります。

 

ただし、記者と仲良くなることはメリットがある一方、距離が近すぎるのはデメリットにもなります。

記者会見などで他社の記者から「先に情報を渡しているのではないか?」と疑われるような関係性は、かえってマイナスになります。

PRは公正さと透明性が求められる仕事です。適度な距離を保ちながら信頼関係を築くことが大切です。

 

最後に最も重要なことを一つ。

記者対応で一番大事なのは、特別なテクニックではなく“丁寧さ”です。

  • 記者会見での説明

  • 取材申込みへの対応

  • 問い合わせへの返答

これらを誠実に対応することが、何よりも記者の信頼につながります。

特別扱いは必要ありません。社会人として当たり前の行動をきちんと積み重ねることがメディアとの信頼関係構築の一番の近道です。

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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