【PR特別講座】営業とPRの関係
- 徳夫 橘川
- 6 時間前
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~営業効率を上げるためのPR活用術~
以前のPR講座でもお話ししましたが、営業も広い意味でのPRの一つです。実際、多くの企業においてPRは「営業戦略の一部」として位置づけられています。
BtoB企業でも、商品名や企業名が知られていることは大きな強みになります。
また、新聞記事などで大きく取り上げられた実績を営業先に見せることで、信頼度が高まり、話を聞いてもらいやすくなります。
こうした意味で、「PRは営業を支援する施策」として非常に有効です。
とはいえ、BtoBの売上を伸ばすうえでは、営業先が明確に決まっていることが多いのも事実です。
たとえば、バスを販売したい場合、以下のような企業がターゲットになります。
バス会社
工場や事業所を持つ企業(従業員送迎用)
これまで購入実績のある企業
これらの企業に直接営業をかける方が、テレビCMで「燃費が良い」「性能が高い」とアピールするより遥かに効果的です。テレビを見ている一般の人は、バスを買う立場ではないからです。
確かに視聴者の中には「バス購入担当者」もいるかもしれませんが、費用対効果の観点では、営業担当が直接訪問する方が圧倒的に効率が良いのは間違いありません。
ただし、PR活動が不要という話ではありません。
たとえば、バスを利用する一般の人は非常に多いです。その人たちがテレビCMで「乗り心地の良いバス」という印象を持ったとします。
すると――
新車導入時に喜ばれる
今のバスが不満な利用者が「このメーカーにすべきだ」と声を上げる
こうした現象が起きる可能性があります。つまり、最終利用者の声が営業に影響を与えることもあるということです。
このように、PRは直接の売上につながらなくても、営業活動を後押しする場面が必ずあります。問題は、どこまでPRに費用をかけるかという企業の判断なのです。
PR会社としては、本来なら広告のように費用をかけず、記事パブリシティなどを通じて自然な形で企業の価値を伝えることができれば、営業効果は非常に高まると考えています。
しかし、営業主導の企業では、「PRの効果」が可視化しにくいため、理解されづらいのが現状です。
PRによってどれだけ売上が伸びたのか?
PRをしなかった場合と何が違うのか?
これらを数値として証明するのはとても難しく、PR会社としても悩ましいポイントです。
最近では、BtoB企業がテレビCMを放送するケースが増えています。一見すると「一般消費者向けの商品がないのに、なぜ?」と思われるかもしれませんが、その背景には営業以外の狙いがあります。
まず一つは 採用効果 です。
企業名が知られている方が新卒採用で圧倒的に有利
親世代も「テレビCMをしている会社なら安心」と感じる
これらは、企業側が意識している大きなメリットです。
さらにもう一つ、企業イメージの向上効果 があります。
テレビCMによって企業名が浸透すると、「ちゃんとした会社」「信頼できる会社」という印象が自然と社会に広がります。BtoB企業の場合、一般消費者との接点が少ないため、社会的な認知が薄くなりがちですが、CMを通じて企業イメージを積極的に形成できるようになるのです。
この“イメージの良さ”は、
取引先の信頼
パートナー企業との関係
採用時の応募意欲
などに影響するため、長期的には営業活動の後押しにもつながります。
一般の消費者向けの商品を扱っていない企業でも、社会的認知の獲得とブランド価値の向上というメリットを狙ってCMを活用しています。こうした企業イメージは、取引先の信頼にもつながり、結果的に営業活動の“土台”を強くする効果があります。
BtoBビジネスにおいて、営業活動が売上につながるのは間違いありません。しかし、その営業活動を支えるのがPRの役目でもあります。
そして、どれだけPR費用をかければ成果が最大化するかは企業の戦略次第なのです。
残念ながら、PR施策の効果を直接数値化するのは難しいですが、確実に企業の“土台”を強くするのがPRの力です。
PR会社としても、このジレンマは永遠の課題ですが、だからこそ 「営業とPRのバランスをどう取るか」 が企業の戦略として非常に重要になります。




