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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

【PRおじさんのぼやき】固定電話はもう主役じゃないけれど…

更新日:10月30日


私が子どもの頃、家にあったのは黒電話でした。いまではスマホが当たり前の時代になり、電話を“かける”よりも“タップする”ほうが主流になりました。

会社に入った頃、ようやくFAXが導入されたばかりで、社内に1台だけ。FAXが届くと、わざわざその部屋まで取りに行く――そんな時代もありました。あの頃はそれが最先端の通信手段だったのです。

やがて携帯電話が登場し、私も比較的早く手に入れました。当時は「そんなもの持ってどうするの?」なんて言われましたが、どこでも話せる便利さは圧倒的でした。そして今はスマホの時代。電話というより、生活を支える“情報端末”になっています。


若い人の家庭では、固定電話を持たないケースがほとんどです。「携帯があるから必要ない」――確かにその通りです。

私が若い頃、家に固定電話を引くというのは、ちょっとしたステータスでした。というのも、固定電話を設置するには申し込みをして工事を待ち、しかも「電話加入権」というものを購入する必要がありました。その加入権が十数万円もしたのですから驚きです。ですから、自分の家に電話を持てるということは、ある意味で“一人前”になった証でもありました。


最近では、会社の代表電話をなくして社員にスマホを支給する企業も増えました。とはいえ、会社にかかってくる電話の多くは営業の売り込みばかりです。中には、代表電話を持たない、あるいはあっても公開しない企業もあります。また、家庭では営業電話や詐欺まがいの電話が増え、受話器を取るのも警戒する時代になりました。


でも、正直に言うと、おじさんとしては少し心配になるのです。

「代表電話がない会社って、本当にちゃんとしているのか?」と。もちろん、時代の流れは理解していますが、固定電話には“安心感”がありました。ちゃんとした場所に会社があり、誰かがきちんと受け答えしてくれる――そんな当たり前のことが、信頼の証でもあったのです。


いまの若い人には、そんな感覚はもう古いのかもしれません。若い世代は電話で話すこと自体が苦手だといいます。スマホは“話す道具”というより、SNSやメッセージアプリでつながる“コミュニケーション端末”。もはや「電話」は“声で話すもの”という定義から離れつつあります。

それでも、おじさん世代にとって固定電話は、ただの通信手段ではなく「会社の顔」であり、「信頼の音」でもありました。とはいえ、現実には固定電話の役割は確実に減っています。スマホやチャットでやり取りができるいま、必要性が薄れていくのも仕方のないことです。


とはいえ、最近では会社にかかってくる電話のほとんどが営業の売り込みばかりです。忙しいときに限って鳴り響くものだから、正直イライラしてしまうこともあります。固定電話の利用がそうした営業電話ばかりになってしまうのであれば、なくなっていくのも仕方がないのかもしれません。

けれど、電話をかける側も、もう少し相手の状況や迷惑を考えてほしいものです。こうしたことが続けば、「固定電話はいらない」と思う人が増え、いずれはどの会社からも固定電話が消えてしまう時代が来るかもしれません。


固定電話の必要性をまだ感じているおじさんとしては、それが少し寂しく感じます。メッセージやスタンプのやり取りも便利ですが、やはり電話の良さは“その場で話せること”にあります。お互いの声を聞きながら、その瞬間に理解し合い、合意できる――そんなリアルなコミュニケーションこそ、電話ならではの魅力だと思うのです。


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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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