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無知の玉手箱
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【PRおじさんのぼやき】自民党は変われるか? 国民の信頼を取り戻すために


一作日、自民党の総裁選挙の投票があり、高市早苗さんが次の総裁に選ばれました。思えば、昨年今ごろ「自民党と立憲民主党の総裁選挙」についてこのブログで書いたあの日から、まさか1年後にまた自民党総裁選があるとは思っていませんでした。

 

この総裁選は、7月の参議院選挙での敗北を受けて、党内から責任を問う声が上がり、石破総裁が辞任したことがきっかけで実施されたものです。世間の中には「石破さんを続けさせてほしい」「世論の支持を無視すべきでない」という声もありましたが、私は、党のリーダーが参議院選だけでなく、衆議院選・都議会選なども含めて三連敗しているのに責任を取らないまま続投するなど、経営者目線からみたら考えられない話だと思います。だから、この総裁交代はむしろ当然の流れだった、と私は感じています。

 

世論調査では、自民党支持者の中にも石破氏継続を望む声が根強くありました。それをみると、自民党内では「石破氏よりふさわしい人がいない」という自民党の人材難も否めないところではありますが、そんな中で、党員が誰に何を期待して投票したのかは非常に興味深いところです。

 

今回の総裁選は、昨年までと違う点があります。少数与党という新しい局面に立たされたため、単に政策を語るだけでは足りない。野党との連携も踏まえて、その政策を実現する仕組みを見せなければならない立場になったのです。だからこそ、総裁選で掲げられた政策と、それを実行する覚悟が、これまで以上に問われる戦いだったはずです。

 

ただ、正直言って盛り上がりに欠けた印象も否めません。昨年も出馬していた候補がまた出ていた点、そして「総裁になっても必ず首相になるわけではない」可能性が見えるようになった点が、関心を薄くした部分でしょう。また、「党の出直し」「刷新」を掲げた割には、大胆な政策や抜本改革を打ち出す候補があまり見られなかったように思います。結局は無難な主張が多かった。

さらに気になったのは、どの候補も「国民」向け発信より「自民党員」に向けた主張に力を入れていたところ。党内支持を固めるのは当然ですが、それで本当に改革や変化が可能なのか、疑問は残ります。

メディアもまた、議員が何票を得たか、誰と誰の組み合わせか、という“数字とネタ”に終始し、この国をどうしていくかという議論にはなかなか踏み込まない。これでは国民の関心をつなぎ止められないのも無理はありません。

 

高市新総裁の誕生で、このまま進めば、「日本初の女性総理誕生」という話題性はもちろん注目に値します。女性初という華やかなニュースが話題になる一方で、実際にはその道のりは決して平坦ではありません。

少子化、外国人労働、物価高、エネルギー、外交、安全保障――日本が抱える課題は山積しています。

 

しかも、かつてのように自民党だけで決められる時代ではなくなりました。今は、野党や地方、国民との合意をどう築くかが問われる時代となり、従来のやり方のままでは、もはや前に進めないでしょう。

高市新総裁に求められるのは、女性だからという象徴性ではなく、停滞した政治の仕組みをどう変えるかという実行力です。もしここで、自民党が自らを改革し、信頼を取り戻す道を示せれば、日本政治の新しい一歩になるでしょう。

 

しかし、その改革ができなければ、高市総理は「日本初の女性総理」であると同時に、「自民党から最後に生まれた総理」になるかもしれません。自民党が変わるかどうか、正直、私も含め誰もが半信半疑かと思います。でも、変わってほしいと国民が望んでいるのも確かだと思います。

せっかく日本初の女性総理が誕生するのですから、私たちは「新しい時代の政治」を見たいですよね。古い慣習や前例主義にとらわれず、国民の声に真摯に耳を傾ける政治を、期待したいものです。

 

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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