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無知の玉手箱
~知らないから始まるマーケティング~

【PRコラム】原子力発電のPRに思うこと─再エネ時代の原発、そのPRのむずかしさ

更新日:7月25日


前回のブログでは、猛暑と冷房需要についてお話ししました。気温が上がれば当然エアコンの使用が増え、それにともなって電力不足が懸念されます。すると、しばしば浮上するのが「原子力発電所を再稼働すべきか」という議論です。

実は、私はかつて原子力発電関連の会社に勤務していた経験があり、一般の方よりは原子力について多少の知識があります。そのため、こうした話題になると、つい考え込んでしまうのです。

 

福島第一原発事故以降、日本の原発の多くは停止したまま。一部では、再稼働した発電所もありますが、安全性への不安が根強く、簡単に「再開」とは言えないのが現実です。電力会社は、CO2削減や地球環境への貢献を理由に、原子力の必要性を訴えていますが、なかなか国民の理解を得るには至っていません。

 

元当事者として外からこのPR活動を見ると、「もっと伝えられることがあるのではないか」ともどかしく感じる一方で、「難しいよな」と納得してしまう自分もいます。そのあたりが、私自身の中でも非常に複雑なところです。

 

とはいえ、現在の火力発電中心のエネルギー政策は、環境面でも持続可能とは言えません。本来であれば再生可能エネルギーへの移行が理想です。しかし、再エネだけで原発の代替をすぐに担えるかと言えば、それもまた現実的ではありません。

しかしながら、南海トラフ地震のリスクが叫ばれる中、原発に対する国民の不安は極めて自然な感情です。そのため私の個人的な意見としては、「既存の原発は、安全性を徹底した上で使える間は活用しつつ、新たな原発の増設は控える」という選択が現実的だと考えています。


ここで注目すべきは、「原子力発電所は動かさなくても、安全管理が必要であり、コストがかかる」という事実です。現在停止中の原発しか保有していない日本原子力発電の例を見てもわかる通り、発電していない原発でも、放射性物質を扱っている以上は厳重な管理が求められます。発電をしていないくとも冷却装置の維持、監視体制の継続、老朽化した設備の保守費用などを電力会社はコストとして認め、その費用を支払っているのです。単に「止めればお金がかからない」というわけではありません。


さらに言えば、完全に廃炉にするにはさらに巨額のコストと長い時間がかかります。その現実を踏まえれば、当面は既存の発電所を安全を最優先に稼働させながら、再生エネルギーの拡充を並行して進めるのが、最も現実的で持続可能なエネルギー政策だと私は考えています。


原子力発電のPRには、社会的、経済的、倫理的に語るべきことがたくさんあります。一度では書ききれないテーマなので、今後このブログで少しずつ掘り下げていきたいと思います。

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著者・橘川徳生 プロフィール

中央大学経済学部を卒業。大学時代は、落語研究会に所属するほどの話好き(うるさいというのが周りの評価?)。座右の銘は「無知の知」。大学卒業後、電力会社や生命保険会社での勤務を経て、1990年ウインダムに入社。過去の様々な業務経験を活かして、PR業務に携わる。

落語研究会で養った自由な発想をもとに、様々なPRやマーケティング企画を立案し。業務を通して蓄積した広範な業務知識をベースに、独自のPRコンサルティングが好評を得ている。趣味はランニングと読書。本から新たな知識を見つけたり、ランニング中にアイデアを思い浮かべる。

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