【PRコラム】メディアの地殻変動とPRのこれから
- 徳夫 橘川
- 5月14日
- 読了時間: 2分
ひと昔前まで「テレビに出る=影響力がある」という図式が当たり前でした。企業や著名人がテレビに登場すれば、その反響は絶大で、売上や知名度に直結するものでした。しかし、いまやその前提は崩れつつあります。
テレビの視聴率は年々下降傾向にあり、雑誌は休刊や廃刊が相次ぎ、発行部数はピーク時の半分以下。新聞もまた部数減が止まりません。長年メディアの王座に君臨してきたテレビも、WEBメディアやSNSの台頭により、影響力の面では徐々に後退しています。
昨年の選挙報道でも、テレビの報道姿勢に疑問を呈する声がSNSで拡散され、テレビ報道そのものへの信頼が揺らぎました。さらに、あるテレビ局での人権意識の欠如が問題視されるなど、メディアの倫理観にも厳しい目が向けられています。
一方で、スマートフォンを手にした若い世代は、もはやテレビや新聞を見ることすらありません。情報源はもっぱらSNSやYouTubeなどのWEB上にあり、それが真実かどうかを深く考えることも少ないようです。この「情報の受け手の変化」は、PRに関わる私たちにとって、無視できない大きな課題です。
もちろん、オールドメディア=悪という話ではありません。テレビや新聞、雑誌には、情報の裏付けを取り、編集責任を持って発信するという大切な役割があります。SNSでは拡散力こそあれ、裏付けのない情報が感情的に広がっていくリスクもあります。
だからこそ、これからのPRでは、メディアの特性をよく理解し、戦略的に使い分けていく必要があります。テレビや新聞は信頼性という強みを生かし、SNSは即時性と拡散力をうまく活用する。その上で、メディアリテラシーを高める啓発や、フェイク情報への一定の規制も議論していくべきでしょう。
ラジオがいまだに根強いファンを持つように、テレビや新聞、雑誌も形を変えながら生き残っていくはずです。大切なのは、それぞれのメディアが自分たちの「らしさ」を再定義し、信頼を取り戻す努力を続けること。そして私たちPRの立場からも、その変化に寄り添いながら、情報の伝え方を進化させていくことだと思います。
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